meviyで作られた部品設計データから部品調達ができる「meviy」によって製作された部品の例 写真提供:ミスミ

機械部品や工具など、製造業向け商品のカタログ・ウェブ通販で知られるミスミは“製造部品のアマゾン”とも例えられる。そのミスミが製造業の「調達」における課題に向き合い、デジタル技術を駆使して作り上げたサービスが「meviy」だ。製造業が長らく抱えてきた課題を、meviyはどのように解決したのか。(編集・ライター ムコハタワカコ)

製造業のDX支援を目指す
ものづくりプラットフォーム「meviy」

 1963年設立のミスミグループ(以下、ミスミ)は、機械部品の商社として創業。1977年からはカタログによる標準部品販売を開始し、現在は部品や工具などを含め、3324メーカー、3100万点の製造業向け商品を取り扱う。提供する部品のバリエーションは800垓(1兆の800億倍)にもなる。標準2日、最短即日出荷という短納期を受注生産で実現、グローバルで部品1個から納品するという体制で顧客数を伸ばし、約32万社と取引。2020年度通期でのグループ連結売上高は3000億円を見込む。

ミスミ吉田常務吉田光伸(よしだ みつのぶ)
株式会社ミスミグループ本社 常務執行役員 兼 ID企業体社長
日本電信電話株式会社(NTT)へ入社後、日本オラクル株式会社を経て、2008年から株式会社ミスミグループ本社へ参画。 事業責任者として国内事業の再構築・中国事業の成長加速を経て、ミスミグループ内の新規事業である「meviy」(メヴィー)の立ち上げに従事。 2018年よりmeviy事業を展開するID企業体を設立、企業体社長に就任。製造業のDXを推進する革新的なものづくりプラットフォームとしてmeviyの成長を牽引。 インターネット黎明期から一貫して「デジタル」を活用した数多くの新事業の立ち上げ、事業責任者としての経歴・実績を持つ。

 ミスミが2010年代半ばごろから取り組む新規事業が、設計データから部品調達ができるオンラインサービス「meviy(メヴィー)」だ。2018年からは製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するものづくりプラットフォームとしてmeviyを展開すべく、ID(Industrial Digital Manufacturing) 企業体(社内カンパニー)を設立し、事業が進められている。

「meviyはミスミだけでなく、製造業全体のDXを目的としている」と語るのは、ミスミ常務執行役員 兼 ID企業体社長の吉田光伸氏。サービスの立ち上げから現在に至るまで、meviyの成長を担ってきた人物だ。

 meviyは、デジタル技術を駆使することによって、顧客がアップロードする部品の設計データから見積もりを数秒で作成し、半製品加工に必要なプログラミングをAIが担うことで、最短即日出荷という超短納期を実現した。meviyの登場により、部品3100万点、800垓の組み合わせを無限大に広げることができたと吉田氏は言う。

 金型部品の提供から始まったmeviyは、2019年には板金部品や切削プレートなどのFAメカニカル部品も取り扱うようになり、本格展開。2020年12月時点で5万を超えるユーザーが利用し、リピート率は8割超、450万を超えるデータがアップロードされるサービスとなっている。

「製造部品のアマゾン」とも呼ばれるミスミがmeviyをリリースするに至った理由はどこにあったのか。吉田氏に話を聞くと、そこには製造業に長らく存在してきた「調達」に関する課題があった。