権利者との共同事業に特化した分譲事業を行い、マンション建替え実績もトップクラスを誇る旭化成不動産レジデンス。 以下(次ページ含む)のずらりと並んだ集合写真は、同社でマンション建替えに携わる面々、豊富な経験も兼ね備えたスタッフたちだ。 これほどのマンパワー(人的資源)をもって実践している、同社ならではの取り組みについて聞いた。

関東圏を中心に数多くのマンション建替え実績を持つ開発営業本部首都圏営業部の社員とマンション建替え研究所の面々。撮影当日に自宅勤務だった社員を加えると、総勢34人の精鋭集団となる

検討初期の段階から個別面談を実施

「当社には独自の『マンション建替え研究所』があり継続的にセミナーを開催して再生を検討している管理組合に情報発信しています(現在はウェブを活用)。同時にマンパワーを生かしておのおのの担当者がコンサルタントや管理組合などからのさまざまなご相談に応じた結果、再生検討が具体化することが多いのが特徴ですね」(マンション建替え研究所副所長・花房奈々氏)

 検討初期だから、修繕か建替えかの方針も決まっていないことが多い。そこでどのような働き掛けをするかというと──。

「そうした早い段階で区分所有者と個別に面談し、それぞれの事情や意向を伺うことを大切にしています。そこで皆さまが困っていることの最大公約事項を見いだし解決の糸口をつかむ。こうした部分に強力なマンパワーを生かせるのが当社の強みだと思っています」(同研究所主任研究員・重水丈人氏)

 個別面談では「問題意識の共有化」を図る努力も行う。

「経年劣化したマンションの現状と、だから再生を検討する必要があるのだという『問題意識を共有化する』のが最初の一歩です。そして、修繕にはこういう方法があって幾らくらいかかりますという費用の概算と、建替える場合はこうなりますという試算を、できるだけ分かりやすく説明させていただいています」(花房氏)

 再生の機運が高まっていない組合では、その問題意識や情報が伝わっていないことが多い。その伝達の役割を同社が個別説明で担う。さらに関心を呼び起こす方法として、A4判1枚に大切な情報を1項目だけ記した読みやすいニュースリリースを作って配るといった、具体的で身近な提案も積み重ねるという。

「よく分からない状態で、自分の財産をどうするかという大切な決議に参加してくださいという方がそもそも無理な話です。状態を理解していただくための材料を提供し、区分所有者の皆さまの意向をくみながら再生方法や計画を一緒に考えていきましょう、というスタンスをとても大事にしています」(花房氏)

 もちろん、検討の進捗に応じて全体説明会も開催すれば、再度個別面談も行うし、必要があればその中間的な茶話会(よろず相談会)も実施する。区分所有者とじかに接するこうした丁寧な対応が同社の流儀なのだ。