社外のシステムを使い「まず枠組みを作る」ことは、DXの突破口となる社外のシステムを使い「まず枠組みを作る」ことは、DXの突破口となる Photo:Fiona Goodall/gettyimages

 昨今、経済ニュースでDX(デジタルトランスフォーメーション)の文字を見ない日はない。

「DXとは単に業務をデジタル化して効率化することだけではなく、事業を根本的に見直し再構築する企業の変革だ」。そんな有識者の力強いコメントも目にする。

 確かに、その通りだ。経営陣の強いリーダーシップの下、「デジタル化した新たなビジネスモデルを構築せよ」と言われて、否定することはできない。

 しかし、当事者がいざDXを実行しようと思っても、現実にはどこから手を付ければいいのか頭を抱えてしまうだろう。

 企業がDXのヒントを探るのに、意外にも、現在大きな問題となっている、コロナ禍への政府や行政の対応が参考になる。好例の一つが、デジタル化により新型コロナウイルスのまん延を防いだ台湾だ。

 リーダーシップを発揮したのは、台湾のデジタル担当大臣であるオードリー・タン氏。タン氏はマスクの重要性に着目し、市民全員にマスクを着用してもらうために、マスク在庫管理アプリを素早く構築し、普及させた。健康保険証を提示するだけで、薬局で簡単にマスクを手に入れられるようにした。さらに、マスクの在庫状況をリアルタイムで示すマップを市民に開放し、市民自らがオンラインで注文できる仕組みをつくった。

 この成功についてタン氏はこうコメントしている。