写真:ジョージ・シュルツPhoto:San Francisco Chronicle/Hearst Newspapers via Getty Images

(編集者注:本稿はウィリアム・J・ペリー氏、ヘンリー・A・キッシンジャー氏、サム・ナン氏の署名によるもの)

 われわれ3人および米国や世界中の著名な元政府関係者や専門家からなるグループはこの15年間、友人であり同僚であった故ジョージ・シュルツ氏の巧みで情熱的な指揮の下で活動してきた。われわれの使命は、世界を核兵器への依存から脱却させ、核兵器が拡散して潜在的に危険な勢力に渡るのを阻止し、最終的には世界の脅威となる核兵器を廃絶することだ。大胆なビジョンなくしては、この目標に向けた実践的行動が公正で緊急性の高いものと認識されないだろう。また行動が伴わなければ、そのビジョンが現実的で実行可能なものだと認められないだろう。

 シュルツ氏は、米海兵隊出身らしい不屈の精神と、レーガン政権下の国務長官など2人の大統領の下で4度閣僚を務めた経験による知恵を駆使し、この責務の先頭に立った。ロナルド・レーガン氏は核兵器を「極めて不合理で、完全に非人道的で、殺人以外に何の役にも立たず、地上の生命と文明を破壊する可能性がある」ものと考えた。1986年にアイスランドの首都レイキャビクで開かれたソ連のミハイル・ゴルバチョフ書記長との首脳会談では、レーガン氏はこの考えを胸に、最も信頼できるこの考えの提唱者であるシュルツ国務長官を伴って臨んだ。