今の「コロナ第4波」対策では感染者が減らないことに、国民は気付いている(写真はイメージです) Photo:PIXTA今の「コロナ第4波」対策では感染者が減らないことに、国民は気付いている(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「コロナ第4波」の拡大は
企業の経営崩壊の現場に似ている

 私はこれまで経営コンサルタントとして、経営崩壊の現場をいくつも経験してきたのですが、そういったときの共通の現象として、トップの思考停止が起きるのを何度も見てきました。それと同じ光景を見ている気がします。大阪や宮城の「コロナ第4波」が、全国に拡大しないかどうかの瀬戸際の状況にあることについての話です。

 思考停止とは、要するに対策がルーティン化することであり、かつその対策には効力がないという可能性から目を背けることです。

 まん延防止措置がとられることになった大阪では、街頭のインタビューで市民が「普通に今の対策じゃ減らないと思う」と答えていることが、おそらく真実をついていると思います。「裸の王様」の寓話と同じで、市民だけが本当の問題に気づいている状態です。

 議論を進める前に、実に興味深いデータがあるので紹介したいと思います。グーグルが提供するGPSデータなのですが、ひとことで言えば東京とその近郊だけが自粛を続けていて、それ以外の道府県は人出が多すぎるのです。

 直近、4月2日のデータによれば、東京都の飲食店や小売店エリアの外出状況をコロナ以前と比較した数字では、人出は26%減です。これは緊急事態宣言発出中のマイナス30%台と比較して、若干緩んではいるものの、それでもまだ自粛が明確に続いていることを表す数字です。

 同様に東京では、ターミナル駅の人出が30%減、職場が25%減。確かに都内の電車は座席に座ることができるくらいには空いているし、Zoom会議やリモート出社も続いています。

 それと比べて大阪府は飲食店・小売店エリアの人出が16%減、乗換駅は21%減、職場は14%減と自粛が弱い。実は、これは宮城県も同様ですし、東京以外の全国平均もだいたい同じ水準です。つまり菅首相や西村大臣、小池知事の監視の目が光っているところにおいてだけ、日本人はおとなしく自粛命令に従っていて、それ以外の場所では気が緩んでいるということが、データから見て取れるのです。