リモートワークが長期化している今、わかりあえない上司と部下の「モヤモヤ」は最高潮に達しているのではなかろうか。さらに、経営層からの数字のプレッシャーが高まる一方で、部下にはより細やかなマネジメントが求められる。仕事を抱え込み、孤立無援のマネジャーたちの疲弊度も限界にきている。そこで今回、「HRアワード2020」書籍部門 最優秀賞を受賞した『他者と働く』著者・宇田川元一氏が最新刊『組織が変わる――行き詰まりから一歩抜け出す対話の方法 2 on 2』で、新しい対話の方法「2 on 2」を初公開した。著者のところには早くも感想が届いているという。
早速夜更かししそうなくらい素晴らしい内容。特に自発的に動かない組織のリーダーについてのくだりは!
読み始めていきなり頭をパカーンと殴られた。慢性疾患ってうちの会社のこと? すべて見抜かれている
『他者と働く』が慢性疾患の現状認識ツールなら、『組織が変わる』は慢性疾患の寛解ツールだ
言語化できないモヤモヤの正体が形になって現れる体験は衝撃でした
職場に活気がない、会議で発言が出てこない、職場がギスギスしている、仕事のミスが多い、忙しいのに数字が上がらない、病欠が増えている、離職者が多い……これらを「組織の慢性疾患」と呼び、セルフケアの方法を初めて紹介した宇田川氏。我々は放置され続ける「組織の慢性疾患」に、どんな手立てを講じられるのだろうか。
今回、2 on 2の共同開発者である荒金泰史氏(リクルートマネジメントソリューションズ)を直撃した。

2 on 2の共同開発者に聞いた
2 on 2の効能

2 on 2の共同開発者が初激白!<br />「これは、組織の見えない問題が<br />あぶり出される画期的な方法だ」

リクルートマネジメントソリューションズ
HRアセスメントソリューション統括部
アセスメントサービス開発部 マネジャー
荒金泰史さん

リクルートマネジメントソリューションズは、人材採用・育成、組織開発、人事制度構築に関するサービスを提供。荒金氏は2008年入社。一貫してアセスメント事業に従事し、顧客の人事課題に対するソリューション提供や実証研究をしてきた。現場マネジャーの対話力を向上させるクラウド型HR Techサービス「INSIDES」の開発責任者を務め、2 on 2の開発にも携わる。

 弊社は研修や各種サーベイ、アセスメントなどを使って、企業の人事・組織課題に対するソリューションを提供しています。

 具体的には、新任管理職や新人研修、従業員満足度調査などのサービスなどです。

 私は、組織内のコミュニケーションを円滑にするサービスを開発しています。

 従業員がどんなことを感じているのかを可視化。そのうえで各々の性格などを踏まえ、現場の管理職たちに、「○○さんはこう感じているようですが、どうですか?」とレクチャーやアドバイスをしています。

 お客様は企業の人事部の方が多いですが、ここ数年、急激にコミュニケーションに関する悩みが寄せられ、特にパワハラの相談が増えています。

 ただ、人事部が当事者に聞いてみると、コミュニケーションギャップが原因のケースが大半で、日頃から会話がないために、ちょっとした指示が一方的な命令に聞こえてしまうケースが多い。

 人事としては、そういう声が上がってきたら、何らかの対応をせざるをえないので、「今日も懲戒、明日も懲戒」と大げさに表現する人もいるほどです。

 他には、現場で部下が上司にものが言えないために、お客様先でのトラブルが上司に伝わらず、プロジェクトで大赤字を出してしまった案件もありました。

 結局、上司と部下のすれ違いが企業にとって看過できない問題になっているのです。ましてや、昨今はコロナ禍によるリモートワークの普及で、さらにコミュニケーションが取りづらくなっています。

 私たちが提供している「INSIDES」というサービスでは、特に上司と部下のコミュニケーションに重点を置いています。

 上司と部下の関係は固定化してしまいがちです。上司は「この部下はこういう人だ」、部下は「この上司はこんなものだ」と、違う角度から捉えるのが難しい関係性なんです。

 それに対して、「この部下が言っているこれとこれを結んだら、こんな姿が見えてきませんか?」と上司と部下が一緒に投げかけていきながら、互いのコミュニケーションギャップを埋める一手として「INSIDES」を開発してきました。