窮地のナタニヤフ首相にとってイラン攻撃は求心力回復の切り札窮地のネタニヤフ首相にとってイラン攻撃は求心力回復の切り札 Photo:Amir Levy/gettyimages

イラン核施設の爆発で思い出す
モサド元長官の言葉

 イラン中部ナタンツの核関連施設で4月11日、大爆発が起きた。イスラエル最強の諜報機関「モサド」によるサイバー攻撃ともいわれている。

 このニュースを知ってすぐに筆者は、4年半にわたってモサドを率いたエフライム・ハレヴィ長官の言葉を思い出した。

「戦略の目的は、こちら側が仕掛けることによって、物理的衝突を加速させ、テロリストどもが高度な兵器を自由に使えるようになる前にたたきつぶすことにある」

 この言葉通りのことが、宿敵イランに対して実行されたのだろう。

 実は、イラン核開発で中心的役割を担うナタンツのウラン濃縮施設が破壊工作のターゲットになったのは、これが初めてではない。昨年7月、遠心分離機の組み立て工場に仕掛けられた爆発物で火災が発生し、甚大な被害を受けている。