イスラエルがマスク着用義務廃止、現地から見た日本とのワクチン政策格差イスラエルでは4月18日に屋外でのマスク着用義務が廃止になった。4月19日に撮影 Photo by Yuki Tokunaga 拡大画像表示

世界最速ペースでワクチン接種が進む中東・イスラエルで、4月18日に屋外でのマスク着用義務が廃止された。国民の約6割がワクチン接種を終えた同国では、学校の対面授業再開、国際空港の開放、ジムやレストランへの自由な出入りなど、マスク以外にもさまざまな規制が取り払われ、コロナ以前の日常を取り戻しつつある。現地で暮らす筆者が見た「ポストコロナ」の世界とは。(イスラエル国立ヘブライ大学大学院・総合商社休職中社員 徳永勇樹)

 2021年4月18日は、イスラエルのコロナ対策が一区切りついた記念すべき一日となった。世界最速でワクチン接種が進むイスラエルにおいて、屋外でのマスク着用義務が廃止となったのだ。要因となったのは、国内における順調なワクチン接種とそれに伴う新規感染者の減少である。昨年末に接種が開始されて以降、この4カ月でイスラエルの人口の6割弱に相当する535万人が2回のワクチン接種を完了している。この結果、5月には外国人観光客への国境開放の噂もあるなど、社会全体が「戦時」から平時に戻りつつある。

明確なワクチンの効果

 マスクの着用義務廃止決定の要因は、ひとえにワクチンの効果が証明されたことにあるだろう。統計情報によれば、本格接種が始まった1月中旬以降、ワクチンの浸透率に伴って新規感染者数が減少傾向に転じた。当初はワクチンと新規感染者の減少の因果関係に疑念の声もあったが、3月に入ってからは数は激減し、18日の「マスク廃止」が決まったという流れだ。

イスラエルでは2021年1月中旬をピークに、新規感染者数が激減しているイスラエル保健省の速報データ。赤いグラフは感染者数を、下の数字は日付を示している。2021年1月中旬をピークに感染者数が減少し、3月以降は激減している(出典:イスラエル保健省) 拡大画像表示

 ワクチン接種の進展に伴い、さまざまな規制が解除された。対外的には、3月に閉鎖されていた国際空港が開放され、有効なビザを持つ外国人も入国ができるようになった。また、ワクチンを接種した人ならば、入国後の隔離も免除となり、国をまたいでの移動がしやすくなった。イスラエル国内のコロナ対策はいったん落ち着いた形だ。

 国内では、マスク廃止に続き、小中学校も1年ぶりに対面授業が再開された。今後は、16歳以下の子どもへの接種が開始される。また、ジムやレストランも接種証明書を見せることで自由に入れるようになった。カフェの屋外席のみならず、屋内席までもが満席のレストランを見る機会も増え、コロナ禍が終わりつつあるなと実感する。筆者も、レストランの屋内営業が再開されたタイミングで、在留邦人10名とエルサレム市内のレストランで食事をした。