日本のIT企業Voyagegroup(元ECナビ)の中国現地法人で、上海人向け週末旅行ホテル予約サイト「慢慢走」を運営する上海易市網絡投資有限公司の総経理、郭光栄氏に中国での事業展開について聞いた。また、中国に進出する日系企業にとって、成功するには何がポイントとなるのかについても、意見を伺った。

ディナーや温泉入場券との
パッケージ商品で差別化

上海で培った旅行者需要獲得ノウハウを武器に<br />中国人向け日本のホテル予約サイトを構想中<br />――郭光栄・上海易市網絡投資有限公司 総経理に聞く郭光栄・上海易市網絡投資有限公司 総経理

――中国には、携程(C-Trip)や芸龍旅行網(elong)など大手ホテル予約サイトがあります。そういう大手競合サイトとどのように差別化をしていますか?

 携程(C-Trip)や芸龍旅行網(elong)などのジャイアント企業とまともに戦っても勝ち目はないので、慢慢走はニューリッチ層向けに付加価値の高いホテルパッケージ商品を販売しています。

――ターゲットとなるニューリッチ層とは、外資系企業等に勤めるエリートサラリーマンや上海の富裕層ですか?

 我々は最初、「20代、月収8000元以上のエリートサラリーマン」を想定していましたが、実際にはこういう人達はターゲットではありませんでした。20代のエリートサラリーマンは、月収自体は高いのですが、結婚前に家を買わなければならない等もあり、貯蓄志向だからです。

 また企業経営者などの富裕層は、自分ではホテルを予約せず、秘書にとってもらいます。値段の安さよりも、思いついたときに簡単に予約を済ませられるかどうかを優先するので、ホテル予約サイトのメインターゲットにはなりません。