銅価格Photo:PIXTA

「ドクター・カッパー」が最高値更新
コモディティー軒並み高の背景とは?

 コモディティー(国際商品)相場の高騰が続いている。非鉄金属では、LME(ロンドン金属取引所)の銅先物価格(3カ月物)が、5月7日に1メトリックトン=1万440ドルまで急伸し、2011年2月の1万190ドルを突破して史上最高値を更新した。

 銅は、「ドクター・カッパー」との異名も誇るように、景気との相関性が非常に強い。IMF(国際通貨基金)の経済見通しによると、今年の成長率は中国8.4%、米国6.4%の見通しだが、さらに上振れの観測も台頭している。世界第1位と第2位の経済大国が、このハイペースで回復するならば、非鉄金属の需要拡大を市場が読むのは当然である。亜鉛、鉛、アルミ、スズ、ニッケル等も軒並み高となっている。

 景気回復に加えて、「EV(電気自動車)化」という世界的潮流もある。ICA(国際銅協会)は、ガソリン、ディーゼル等の内燃機関自動車の銅使用量は1台当たり約23キログラムだが、EVでは3~4倍に達するとしている。世界が「EV化」に疾走している状況を考えると、この構造要因からも銅をはじめとする非鉄金属需要は大きい。

 これだけではない。鉄鉱石や鋼材、コーン(トウモロコシ)などの穀物、木材に至るまで、幅広い国際商品の相場が上昇中なのだ(下図参照)。

 これら幅広い資源価格の急騰をもたらす「二大要因」とは何なのか。一段高が見込める理由、株式市場で恩恵を受けそうなセクターと共に次ページ以降で詳解していこう。