インフレ懸念相場で投資家はどうすべき?「株価の方程式」で山崎元が解説Photo:PIXTA

「インフレ」が久しぶりに株式マーケットで注目を集めている。本格的なインフレが来ると見る向きは少ないだろうが、今後もインフレが市場の材料として登場することが少なからずありそうだ。そこでインフレと株価、および株式投資との関係を「方程式」を使いながら整理しよう。またその結果、投資家がインフレ懸念相場で何をすべきかを解説する。(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)

久しぶりにインフレが市場の材料に
投資家は今の相場でどうすべき?

 多くの証券マンにとって「インフレのリスク」という言葉に懐かしい思いがあるはずだ。かつて、「将来インフレになるリスク」は、「老後の生活への不安」と共に、個人客を投資に駆り立てる上で有効な二大商材の一つであった。

「銀行にお金を置いておいても、ほとんど増えません。将来インフレになって、お金の購買力が低下したときに悲惨です。今のうちから、ある程度リスクを取って、ご資産を運用する必要があるのではないでしょうか。日本の財政赤字を考えると、将来、まちがいなくインフレが…」

 というような口上で、(1)不安を煽っておいて、(2)その解決策として「投資」を勧める、というのが半ば定型化されたセールス手法だ。

 ところが、もう30年間くらいこのように言い続けてきたものの、なかなかインフレはやって来なかったし、ついにはデフレの時代さえあった。ハイパーインフレは来なかったし、「お金が紙くずになる」こともなかった。