Photo by PhotoACPhoto by PhotoAC

営業希望で入ってきた新入社員は、大好きなオンラインゲームのキャラクターに似せた明るい茶髪のツヤツヤロン毛が自慢。仕事中に居眠り、上司の指導には屁理屈で応酬する彼に、営業部長はお手上げ。「まだ試用期間なのだから、クビにしては?」と社長に提案する。新卒採用で入ってきた社員を、試用期間後にクビにしたり、雇用条件を変えたりすることは可能なのか? 社労士がアドバイスする。(社会保険労務士 木村政美)

<甲社概要>
 従業員数300名の建設資材販売会社。

<登場人物>
 A:新卒採用で入社した22歳。基礎研修を終了後、希望していた営業課に配属された。
 B:営業課長でAの上司。40歳。
 C:甲社の社長。50歳。
 D:甲社の顧問社労士。

余裕がありすぎて仕事中に居眠り
「ああ言えばこう言う」新入社員がやってきた

「あっ! イテテ……」

 B課長から渡された業務マニュアルを読んでいたAは、10分もたたないうちにウトウトし始めた。そして居眠りモードに入ったところで自分の机のカドに頭をぶつけ、痛さのあまり大声で叫んだ。目が覚めたAは顔を上げ、周りの鋭い視線を感じると、「いけねー、またやっちゃった……」とバツが悪そうに舌をペロッと出した。

 新卒採用で入社したばかりのAの仕事は、業務内容を覚えるためにB課長から指導を受けたり、業務マニュアルを読んだりするのが主で、時々実地訓練として電話やメールでの顧客対応をするときもあった。仕事が終わると自宅でオンラインゲーム三昧。熱中しすぎて夜ふかしになり、その分昼間は眠たくてしょうがなかった。しかしAは現在研修中で自身の業務量が少なく、そのため半分頭が寝ていてもミスなく仕事をこなしていた。