金融政策で参照する
「平均インフレ率」の対象期間
(日本銀行の試算値)

金融政策で参照する「平均インフレ率」の対象期間(日本銀行の試算値)出所:日本銀行「より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検」2021年3月

 最新の日本銀行の物価見通しは2023年度でも1%で、目標の2%には程遠く、ゼロ%以下の政策金利が今後もかなり続きそうだ。低金利の長期化は、金融システムや金融市場を不安定化させる可能性があり、それを通じた経済物価への悪影響には留意が必要だ。

 低金利の長期化には、金融政策のルールも関わる。日銀は、16年に長短金利操作付き量的・質的金融緩和を採用したときに、物価安定の目標の実現とは、インフレ率が平均的に2%となること、と明確化した。平均には過去の値を含むので、過去のインフレ率が低い下で平均2%のインフレ率を目指すと、低金利が長期化する。そして、平均期間を長くとるほど低金利が長引き、2%のインフレ率の到達は早まるものの、後の利上げは急となり、インフレ率や需給ギャップは大きく変動する。日本の場合、予想インフレ率も過去の物価動向に強く引っ張られるので、この特徴がより顕著に表れる。