五輪も自粛も「仕方がない」で受け入れる、ガマン大国・ニッポンの末路写真はイメージです Photo:PIXTA

1970年代にブームになったあのCMが今ふたたび…

 「人間、辛抱だ!」

 元横綱・初代若乃花(花田勝治氏)と元大関・初代貴ノ花(花田満氏)の兄弟が2人並んで腕組みをしながら、そのように言い放つテレビCMが、1970年代に一世を風靡した。50代以上の方はよく覚えていることだろう。筆者も幼い頃に風呂上がりにブリーフ一丁で真似をした記憶がある。

 この「懐かCM」が昨年5月にリバイバルされた。最初の緊急事態宣言の最中、日本相撲協会が公式Twitterで、朝乃山や貴景勝らが腕を組んで「人間、辛抱だ!」という動画を公開したのである。外出自粛を呼びかけるため、かつて日本人の精神力の強さを象徴した「金言」を活用したというワケだ。

 あれからちょうど1年、この呼びかけ通り、気がつけば日本は「人間、辛抱だ!」の大合唱で、さまざまな理不尽を受け入れている。例えば、クラスターが出ていない映画館や百貨店は、休業要請されても「人間、辛抱だ!」と怒りを押し殺しながらも従った。また、さらに緊急事態宣言が延長されるということで、学生時代の最大イベントである修学旅行などが中止になる学校も多く、落胆する子どもたちに対して親や教師は「人間、辛抱だ!」と説き伏せている。

海外から見た日本のイメージは「ガマン大国」

 そんな「1億総ガマン」とでもいうべきムードを敏感に察知したのか、今月19日、IOCのコーツ副会長がネットを通じて関係各位に送った書簡の中で、日本人をこんな感じでヨイショしている。

「歴史の中で逆境を克服し、忍耐力を発揮してきた日本の人たちのおかげで、この難しい環境下でもオリンピックが開催できるということを決して忘れてはならない」(NHKニュース5月20日)

「はあ?この人、ホント何もわかってねえな」と怒りを覚える方も多いだろうが、五輪が開催できるかどうかはさておき、言っている内容はそれほど間違っていない。国際社会における日本のイメージというのは、コーツ氏の言う通り、「ガマン大国」というものだからだ。