牙を抜かれた香港の学生たち、中国の野望はアヘン戦争以前の秩序回復かPhoto:Joseph Chan on Unsplash

香港、日本の大学がともに、これまでの「学び」を継続することの困難を抱えている。そんな中、立命館大学で私が受け持つゼミと香港中文大学とで、オンライン・ワークショップを行った。これまでも何度も行ってきた学生同士の議論・交流の場であったが、今回はどうも様子が違ったのだ。中国の強権的な振る舞いによって、国民の萎縮があるのではないだろうか。(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)

香港で狭められてきている「学問の自由」

 香港は、昨年6月に「香港国家安全維持法(国安法)」が施行された(本連載第250回)。中国共産党をバックにした当局による民主派勢力への弾圧が強まり、大学の「学問の自由」も次第に狭められてきているようだ。

 一方、立命館大学のキャンパスがある大阪府では3度目の「緊急事態宣言」が発動されたため(第273回)、「対面授業」は完全にストップし、ほぼすべての授業がリモートに切り替わっている。

 しかし、そんな困難な状況だからこそ、お互い前に進むべきである。

 そこで先日、香港中文大学と立命館大学政策科学部で私が受け持つ上久保ゼミとで、Zoomを使用して、オンライン・ワークショップを開催した。双方から合計29人の学生が参加し、香港と日本の「雇用問題」をテーマに議論をした(香港中文大学日本研究学系HP)。2016年にも香港中文大学とはオンライン・ディベートを行うなど、関係ができている。

 しかし、どうも今回は様子が違った。