韓国のミサイル、中国も射程に 米国が制限解除Photo:Anna Moneymaker/gettyimages

【ソウル】米国は数十年にわたり、韓国の弾道ミサイル開発を厳しく制限してきた。背景には、韓国が一方的に近隣の中国や北朝鮮、ロシアと緊張を高める恐れがあるとの懸念があった。

 だが、バイデン政権は先月、これまでおよそ500マイル(約800キロメートル)としていた弾道ミサイルの射程上限を取り除き、韓国のミサイル開発に課していた最後の制限を解除した。これは重大な変更だ。韓国のミサイルはこれで、理論上は北京やモスクワを含め、あらゆる場所を射程に入れることが可能になる。

 北朝鮮は金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記の下で核兵器を増強しており、中国の軍事力も拡大している。米国の観点からは、自国の兵器を移動させることで他国の反発を招くことなく、親密な同盟国がアジア地域における軍事的な抑止力を高める技術を開発すると捉えることができる。一方、韓国は長らく求めていたように、核以外の兵器について、国家主権を完全に取り戻すことになる。