スタンフォード大学・オンラインハイスクールはオンラインにもかかわらず、全米トップ10の常連で、2020年は全米の大学進学校1位となった。
世界最高峰の中1から高3の天才児、計900人(30ヵ国)がリアルタイムのオンラインセミナーで学んでいる。
そのトップがオンライン教育の世界的リーダーでもある星友啓校長だ。
全米トップ校の白熱授業を再現。予測不可能な時代に、シリコンバレーの中心でエリートたちが密かに学ぶ最高の生存戦略を初公開した、星校長のデビュー作『スタンフォード式生き抜く力』が話題となり、ロングセラーとなっている。
ベストセラー作家で“日本一のマーケッター(マーケティングの世界的権威・ECHO賞国際審査員)”と評された神田昌典氏も「現代版『武士道』というべき本。新しい時代に必要な教育が日本人によって示されたと記憶される本になる」と語った本とは一体なにか。
このたび星校長とグーグルプロダクトマネージャーの田村芳明氏が初対談。日本人がベイエリアのビジネスエリートから学んだ3つの習慣とは?
前編・後編の前編をお届けしよう(これまでの人気連載はこちら

シリコンバレーの<br />日本人プロダクトマネージャーが<br />エリートビジネスマンから学んだ<br />3大習慣Photo: Adobe Stock

【第1の習慣】
自分のキャリアは自分のもの

星友啓(以下、星):今回の対談相手は私のパパ友であり、飲み友でもある田村芳明さんです。

グーグルという世界中から注目を集める企業でプロダクトマネージャーを務める田村さんに、アメリカ西海岸ベイエリアで働きながら学んできたことをお聞きします。

はじめに、プロダクトマネージャーのお仕事について簡単に説明していただけませんか。

田村芳明(以下、田村):ユーザー、エンジニア、UXデザイナー、マーケティング、エグゼクティブ等、あらゆるステークホルダーの期待と要求を踏まえて、プロダクトに関する判断・決定を行い、プロダクトの成功に対して責任を持つ役職ですね。

シリコンバレーの<br />日本人プロダクトマネージャーが<br />エリートビジネスマンから学んだ<br />3大習慣田村芳明(たむら・よしあき)
グーグル プロダクトマネージャー
NTT研究所にて仮想化技術とOSの研究開発に従事した後、シニアソフトウェアエンジニアおよびプロダクトマネージャーとしてミドクラに参画。グーグルではKubernetes、gVisor、AIのプロダクトマネジメントを担当。2016年よりアメリカ西海岸マウンテンビュー本社勤務。
*本インタビューは個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。

星:ベイエリア、特にグーグルのような企業で働いていると、いわゆるITエリートやビジネスリーダーと交わる機会が多いでしょう。田村さんもその一人だと思いますが。

まず、そういう人たちからもらった教えや、振り返って重要だったなと思うことを聞かせてほしいんですが。

田村:おっしゃったように、ベイエリア、シリコンバレーには世界中から優秀な人が集まります。優秀、賢い、仕事ができる……それは当たり前で、そのうえで新しいものをどんどん生み出していく。とにかくレベルが高いです。

星:そのような競争的な環境で成功できるのはどういう人なのでしょうか。

田村:まず挙げられるのは、自分のキャリアや進む道を自分で切り拓いている人です。

日本人の感覚としては慣れないところですが、みんな普段は協調的なのに、突然勝手にチームを抜けたり、新しいポストに移ったりするんですよね。

なぜかというと、彼らの考えの中心にあるのは、「自分のキャリアは自分のもの」ということなんです。

成功しているのは、そういうマインドセットの人ということがだんだんわかってきました。

星:組織が先にあって、いかにそれに合わせるかという日本人的なスタンスとはずいぶん違いますね。

田村:それだと、ハシゴが外されたときにどうしようもないですからね。

こっちの人は、自分が正しいと思うことに正直です。

他人や過去の自分と衝突する決断でも、最終的に未来において正しいと判断すれば、躊躇なく実行します。それが成功への近道なんですね。

星:お話を伺って、本当にそうだと共鳴したところが2あります。

1つ目は、最初に会社があってその中でどう目標設定するかという考え方と、最初に自分の目標やライフワークがあって、それに対して会社がどう役立つかという考え方と、2種類あるということです。

2つ目は、ハングリー精神というのでしょうか。こっちの人って「会社がチャンスをくれない」と不満を漏らす前に、自分からどんどん前にいきますよね。

彼らにとって、自分のキャリアというのは他人に作ってもらうものじゃないんですね。

田村:自分から前に行くし、最終的にチームや会社が自分に合わないと思ったら、躊躇なく去ります。

日本の場合、「育ててもらったなあ」「いい経験させてもらったなあ」という気持ちがあるじゃないですか。だから去るときに少し後ろめたさがありますよね。

星:うんうん。

田村:ところが、こっちの人は全くない。すがすがしいくらいに潔い

そういう同僚を何人も見てくると、「ここはそういう考え方なんだ」とわかってくる。

「いやだなあ」「合わないなあ」という気持ちを我慢する必要はないし、我慢することに意味がない。

誰も自分のアクションを責めやしない。なぜなら、みんな動くから。

個人が大事だし、自由が大事。いい考え方だと思うようになりました。

星:自分のキャリアは自分のもの」というカルチャーがあるから、動いても、「あ、そうだよね」と認めてもらえるんですね。

田村:それが安心感につながりますよね。だから一生懸命頑張れるし、誰かが外れても恨みっこなしです。