「頑張る力のある子」の親がしている3大習慣Photo: Adobe Stock

16万部のベストセラー『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』(ダイヤモンド社)が話題だ。
「コミュニケーションの取り方」から「家での勉強のしかた」「遊び」「習い事」「英語」「スマホ対策」「ゲーム対策」「食事」まで、子育てのあらゆるテーマをカバー。100の「子どもにしてあげたいこと」を実践するにあたっては、さらに詳細な「421の具体策」も提示し、理屈だけでなく、実際に何をどうしてあげればいいのかということまで丁寧に落とし込んでいる。
今回、その著者、加藤紀子氏と、シリコンバレーで最も有名な教師とも言われるエスター・ウォジスキーの著書『TRICK──スティーブ・ジョブズを教えYouTube CEOを育てたシリコンバレーのゴッドマザーによる世界一の教育法』(文藝春秋)を翻訳した関美和氏とで、子育て対談が実現した。いまの時代に大切な子育ての方法とは?(構成:小川晶子)
>>前回記事「『自分のアタマで考える力』を伸ばす親の習慣ベスト4」はコチラ

【その1】「自分からやる」意欲を引き出す

関美和氏(以下、関) 『TRICK』『子育てベスト100』には重なるところがたくさんあると感じました。グリット=やり抜く力をつけるというのもそうです。

 近年注目されている力ですが、ベースには自己肯定感がありますね。自分に対するポジティブなイメージを持っていると、失敗してもへこまずにチャレンジを続けられます。それには、あまり親が手出しせず、失敗して立ち直る経験をさせてあげることも重要かなと思います。

「頑張る力のある子に育てる」ということでいうと、加藤さんはどのメソッドをおすすめされますか?

加藤紀子(以下、加藤) 関さんがまとめて言ってくださったような感じもしますが、『子育てベスト100』から3つ挙げさせていただきますね。

 まず1つ目は「『やる気』をつくる」という項目です。

 自分からやる意欲を引き出すには、アメとムチのようなものではダメなんですよね。エスターさんも『TRICK』の中で「『親に愛されない恐れ』が原動力で果たしてよいのか?」ということをおっしゃっていました。一見、「やり抜く力」があるようでも、それが「失敗したら親に愛されなくなるのではないか」という恐れから来ているのだとしたら、それで本当にいいのだろうかという話でした。

『子育てベスト100』の中では、内発的な「やる気」をつくるためのTIPSとして、「成功体験を与えること」「自分で選ばせること」「頼って、ほめて励ますこと」、それから「好きなことを主体的に学ぶこと」を挙げています。やはり内発的な動機付けが、頑張る力につながると思うんです。

【その2】失敗を「成長の糧」にする

加藤 2つ目は「『失敗』を成長の糧にする」。

 スタンフォード大学の発達心理学者キャロル・ドゥエック教授は「失敗を『改善の機会』ととらえられる人は、失敗しても粘り強く挑戦を続けられる」といっています。

 『TRICK』でもキャロル・ドゥエック教授の『マインドセット──「やればできる!」の研究』(草思社)について紹介していました。

「しなやかマインドセット」と「硬直マインドセット」の2種類のものの見方があって、「硬直マインドセット」の人は「失敗した自分は賢くない」と思い込んでしまうのに対し、「しなやかマインドセット」の人は、自分は成功するというイメージを持っていて、「失敗はあきらめる理由にならない」と考えるといいます。

加藤 「しなやかマインドセット」でいるためには、この対談でも前に関さんが言ってくださったように、親が「型にはめない」ことは大事ですね

 決めつけたり、押し付けたりしない。親が先回りして何でもやってあげたりすると、子ども自身が自分の能力に気づきにくくなってしまいます。

【その3】レジリエンスを鍛える

加藤 3つ目は「『レジリエンス』を鍛える」です。

 レジリエンスとは、逆境や困難、未知のものに直面したときに、へこんでもはね返せるような心のしなやかさ、復元力のことですね。

 頑張る力をつける中では、レジリエンスはとても大事ですね。これも自己肯定感がベースにありますよね。

加藤 はい。レジリエンスは生まれつきの資質というわけではなく、鍛えられると言われています。レジリエンスを鍛えるには、「自分の好きなこと」や「自分ができること」「自分が持っているもの」など、自分のポジティブな面に気づいておくことが大事だと、国際ポジティブ心理学会理事のイローナ・ボニウェル博士は言っています。

 親子でそんなことを確認できるような対話をするといいですよね。エスターさんは親としても教師としても、子どもたちにこういったポジティブな面に気づかせるのが上手だったのではないかと思います。

 変化の激しい時代で、予想もしなかったようなことにぶつかっても、しなやかにやっていけたらいいですよね。

加藤 エスターさんのように、親も自分の弱みをさらけ出しながら、一緒にやっていくのがいいんじゃないでしょうか。親が知らないこともいっぱいあるし、苦手なことだってあるし。「これからの時代を生き抜く力を」と親が必死になって身につけさせようとするより、子ども自身の力を信頼して敬意を払うことですね。

 そう思います。

加藤 今日はどうもありがとうございました。関さんと対談できて光栄でした。

 こちらこそ、ありがとうございました。