大学#7Photo:PIXTA

コロナ禍で行われた2021年入試は少子化、学習の進捗遅れや感染拡大地域を敬遠する動き、経済的な問題、そして共通テスト初年度……さまざまな要因が複雑に絡み合い、異例ずくめのものとなった。特に早稲田大学の看板である政治経済学部や国際教養学部、青山学院大学の国際政治経済学部などの志願者数激減は耳目を集めた。来年もこの流れは続くのか?特集『入試・就職・序列 大学』(全23回)の#7では、21年入試から、22年入試の必勝法を探る。(ダイヤモンド編集部 山出暁子)

コロナに翻弄された
前代未聞の大学入試

 今年行われた2021年大学入試は、新型コロナウイルス感染拡大に受験生も大学も翻弄された。休校によって思うように進まない学習、例年通りに想定できない入試日程や選抜方法、そして、移動することがコロナ感染リスクにつながるかもしれないという不安。学生たちは、さまざまな“余計な”荷物を背負って入試に臨まなければならなかった。大学側も同様だ。感染リスクを考慮した入試日程や選抜方法、試験会場の選定や準備、クラスターを出してはいけないというプレッシャー、そして受験生の志願者動向をつかむのも難しかった。

 さらにこのタイミングで、センター試験から共通テストへの移行や、一部の大学では入試改革への大掛かりな取り組みがあり、誰もが未経験の新入試への対応を迫られた年でもあった。

 それらの影響は、実際の入試動向に顕著に表れた。21年入試の特徴について、大手予備校の河合塾津田沼校の校舎長功刀亮氏は「人口減少や志願者減少による『競争緩和』、理系人気が高まった『文低理高』傾向、そして、受験する地域という面でも、新入試における慎重な志望校選びという面でも『届く距離への受験』という三つが挙げられる」と分析。また、大手予備校の東進ハイスクールを運営するナガセ広報部長の市村秀二氏は「『変化を避けて保守的に』『都市部を避けて地元志向』『無理せず安全志向』『文低理高』の4点でまとめることができるだろう」と語る。

 つまり、コロナ禍の影響で志望校を減らして手堅く受験し、普段は大都市を受験する学生が地元を選ぶ傾向が強まり、文系より理系が優位となった、ということになろう。

 では、実際の入試では、どの大学で、どんなプラスとマイナスの傾向が見られたか。さらに、来年の22年入試はどんなふうになるのか。そこから分かる、少しでも高いレベルの大学に合格する秘訣は?不透明な環境が続く大学入試。専門家の分析を基に、来年の対策を考えていこう。