2040年の宇宙ビジネスモルガン・スタンレーの予測では、2040年の宇宙ビジネスの市場規模は100兆円を超えるという(写真はイメージです) Photo:PIXTA

今、人々の宇宙への関心が高まっています。宇宙には、一見、簡単には成し遂げられないことにも挑戦したくなる、そのような魅力があるようです。先日、がん細胞と無重力の状態の関係を研究しているJoshua Chou教授(University of Technology Sydney)を招いて、宇宙探索や宇宙旅行に関するワークショップを開催しました。その時の様子をお話しましょう。(一橋大学名誉教授 石倉洋子)

スペースX、天問1号、ブルーオリジン…
次々と舞い込む宇宙関連のニュース

 スペースX(実業家のイーロン・マスク氏率いる宇宙開発ベンチャー)が活発に進めているカプセル型宇宙船の打ち上げや、惑星探査を先導すべく、無人探査機「天問1号」の火星着陸を成功させた中国。

 そして7月20日には、ブルー・オリジン(アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏が設立した宇宙開発ベンチャー)による人類初の一般人向けの宇宙旅行が予定されており、宇宙船にベゾス氏本人も搭乗すると発表がありました。

 このところ、こうした宇宙に関するニュースが多く、人々の宇宙への関心が高まっています。

 気候変動などの影響で、今後、地球の生態系がどうなるのか? 次々と増加している宇宙のゴミの処理をどうするのか? など、宇宙を巡る話は尽きません。

 昔から物議を醸している「UFO」についても、 一応、宇宙人搭乗の証拠は見られないという結論(あまりはっきりしていませんが)が、米国国防総省からつい最近発表されましたが、いまだ解明されていないことも多く、これで研究や探索が終わるとは考え難いです。

 地球上では米中の覇権争いが熾烈になる中、米国政府は、テクノロジーの進展がめざましい中国に対抗するため、研究開発への巨額の投資を決定しています。今はあくまで地球上での競争ですが、これからは舞台が宇宙へと広がる兆しが、かなりはっきりと見えてきています。

 競争に勝つには研究開発をしなければ話になりません。そのため、研究開発にどれだけの予算や人材を確保できるかが、決め手となりそうです。

 ケネディ元大統領が当時示した「1960年代のうちに月へ人を送る」というビジョンは、当時の科学者や多くの人々にとって素晴らしい目標となりました。宇宙には、一見、簡単には成し遂げられないことにも人類が挑戦する、そのような魅力があるように感じています。

 ごく最近、オーストラリアのシドニーにある大学、University of Technology SydneyのJoshua Chou教授と知り合う機会がありました。

 Chou教授は、無重力というある種のショック状態の中で「がん細胞がどう変化するか」、がん細胞と無重力の状態の関係を研究されているのです。