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1日2回、決まった時刻にたばこ部屋に行き、30分帰ってこない係長。周りの社員が困っている様子を見た課長は管理職会議にかけ、社内禁煙・たばこ部屋廃止の新ルールが決まったが、それを聞いた愛煙家の社員たちは「そんなことを独断で決めるのは不利益変更だ」と猛反対。会社は社員に社内禁煙を強制することができるのだろうか? 社労士がアドバイスする。(社会保険労務士 木村政美)

<甲社概要>
地方都市にある製造業の会社。従業員数は300名で、工場を有している。

<登場人物>
A:35歳。総務課係長。自宅では家族のために禁煙中、その分会社でたばこを吸いまくっている。
B:40歳。今年4月に新任した総務課長でAの上司。
C:30歳。総務課に所属するAの後輩。
D:40歳。総務課の元課長でたばこ部屋を利用している。
E:60歳。甲社の社長。
F:甲社の顧問社労士。

1日2回、午前10時と午後3時に
たばこ部屋へ行き、30分帰ってこない係長

「ファーッ……やっぱり仕事の合間の一服はうまいっ!」

 Aは毎日午前10時と午後3時になると、総務室から片道5分離れた喫煙専用室(通称・たばこ部屋)で一服するのが習慣だった。部屋にはAを含め総勢10人のメンバーがそろい、皆でたばこをくゆらせながら20分ほど雑談を楽しんでいた。Aが入社した当時は工場内の階ごとに喫煙所があったので、時々離席して喫煙することができたが、5年前に喫煙所は廃止され、会社敷地内の隅にあった休憩室をリフォームしてたばこ部屋を設置し、喫煙できる場所はその1カ所のみとなった。