米インフレの歴史、投資家が学ぶべき教訓とはPhoto:picture alliance/gettyimages

 インフレは足元で加速しており、1980年代以降で記録的な水準に跳ね上がっている。当時はポール・ボルカー連邦準備制度理事会(FRB)議長が急激な物価上昇を押さえ込んだが、当初は経済に著しい打撃が及んだ。だが、その後数十年にわたり、債券と株式の上昇局面が繰り返されるパターンが始まった。

 新型コロナウイルス禍後のインフレ加速が実際に定着した場合、ボルカー時代以前のような状況になるのか、それとも第2次世界大戦後のようなより好ましい加速にとどまるのか。これらの時代の動向は、金融市場のパフォーマンスを占う上で教訓を提供する。

 第2次世界大戦後の株式相場は、インフレが高進する中でも活況が続いた。だが、これも1960年代半ばには途絶える。株式と米国債のリターンは、1970年代以降に物価上昇に急ブレーキがかかるまで低迷した。

 株式が1950年代に好調を維持した要因の1つは、年金基金など機関投資家が初めて株式を購入するなど、資金が株式市場に流入したためだ。こう指摘するのは、アブソリュート・ストラテジー・リサーチの首席投資ストラテジスト、イアン・ハーネット氏だ。これが米国債保有と比較した場合の損失リスクに対して株式投資家が要求する上乗せリターンであるリスクプレミアムを下押しした。