中銀テーパリングの季節到来、市場が間違う理由Photo:Tom Williams/gettyimages

――投資家向けコラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

***

 金融市場は量的緩和(QE)――もしくはその巻き戻し――をどうも正しく理解できないようだ。

 投資家は今、新型コロナウイルス時代に導入された金融緩和の解除時期に神経を集中させている。米連邦準備制度理事会(FRB)当局者はこの1週間、想定より早期に利上げに踏み切る可能性を示唆。QEとして知られる資産買い入れの「テーパリング(縮小)」時期を議論していることも示唆した。イングランド銀行(英中央銀行)など他の主要中銀も似たような局面を迎えている。

 理論上は、投資家はシンプルな投資戦術に従うことができる。利上げに関する発表は、現金に近い代替の投資先である短期債にとって往々にして弱材料だ。逆に、中銀による国債買い入れが細れば、長期債に一段と大きな影響が及ぶはずだ。各国政府が国債をかつてないペースで増発している状況ではなおさらだろう。