スタンフォード大学・オンラインハイスクールはオンラインにもかかわらず、全米トップ10の常連で、2020年は全米の大学進学校1位となった。
世界最高峰の中1から高3の天才児、計900人(30ヵ国)がリアルタイムのオンラインセミナーで学んでいる。
そのトップがオンライン教育の世界的リーダーでもある星友啓校長だ。
全米トップ校の白熱授業を再現。予測不可能な時代に、シリコンバレーの中心でエリートたちが密かに学ぶ最高の生存戦略を初公開した、星校長のデビュー作『スタンフォード式生き抜く力』が話題となり、ロングセラーとなっている。
ベストセラー作家で“日本一のマーケッター(マーケティングの世界的権威・ECHO賞国際審査員)”と評された神田昌典氏も「現代版『武士道』というべき本。新しい時代に必要な教育が日本人によって示されたと記憶される本になる」と語った本とは一体なにか。
このたび星校長とニュージーランド生まれでハーバード、ケンブリッジ、スタンフォードなどの世界の名門25大学に合格した経験をもつジェイミー・ビートン氏が初対談。海外の大学受験で日本人が知らない3大盲点について語り合った前編・後編の前編をお届けしよう(これまでの人気連載はこちら)。

ハーバード、ケンブリッジ、スタンフォードなど<br />世界の名門25大学に一発合格した<br />ニュージーランドの鬼才CEOが初公開!<br />9割の日本人が知らない「3大盲点」Photo: Adobe Stock

25大学すべてに合格した理由

星友啓(以下、星):今日は改めて、インタビュー対談よろしくお願いします。

早速ですが、現在全世界に展開しているクリムゾン・エデュケーション(Crimson Education、以下、クリムゾン)のメインビジネスは大学進学の出願支援。ジェイミー自身もすごい大学合格歴だったらしいですね。

ハーバードやケンブリッジ、米英トップ校に出願し、25大学すべてに合格した。今日は大学受験の体験について話してもらえますか?

ジェイミー・ビートン(以下、ジェイミー):私はニュージーランド生まれのニュージーランド育ちで、幼少の頃はアメリカやイギリスの大学進学について考えたことはほとんどありませんでした。

そんなとき、高校の先輩がアメリカのトップ校であるイェール大学に進学することが決まったのです。

彼に海外留学を勧められて、進学先をニュージーランド国外に視野を広げるようになりました。

ニュージーランドや日本をはじめ、ほとんどの国の大学入試は学力やテストスコアで合否が決まりますが、アメリカの大学入試は課外活動から性格特性まで学力以外にもたくさんの審査の要素があります。

そこで、高校時代は、社会貢献活動(飲酒問題に関する運動)、ビジネスの立ち上げ(車用のiPadスタンドの販売)、オリンピアード(数学などの世界コンテスト)、慈善団体など、様々な活動に意識して従事してきました。

当時はただ自分が興味があることや情熱を注げる課外活動に注力していました。

学業だけでなく、課外活動で世界から集まるトップの学生たちに差をつけようとしたのです。

このような戦略は、当時あまり一般的ではなかったのですが、実際かなり効果的だったと実感し、多くの学生が恩恵を受けることができるのではないかと思いました。

ハーバード、ケンブリッジ、スタンフォードなど<br />世界の名門25大学に一発合格した<br />ニュージーランドの鬼才CEOが初公開!<br />9割の日本人が知らない「3大盲点」ジェイミー・ビートン(Jamie Beaton)
ニュージーランド、1995年生まれ。高校はニュージーランドのオークランドにあるKing's Collegeに通い、高校5年間常にトップの成績をおさめる。
大学出願時にアメリカやイギリスの25の大学に出願し、全大学に合格(ニュージーランド史上初)。25校にはハーバード、イェール、プリンストン、ケンブリッジ、スタンフォード、コロンビア大学などが含まれている。
最終的にハーバード大学に進学することを決意し、学部(応用数学と経済学)と大学院(応用数学)を通常5年かかるところをわずか3年でMagna Cum Laude(成績優秀者)として卒業。
その後、若干20歳(史上最年少)でStanford Graduate School of Business(MBAと教育学修士のJoint Degree)に入学。あわせて2018年からは世界最古の名誉あるフェローシップRhodes Scholarshipの奨学生としてオックスフォード大学博士課程(Philosophy in Public Policy)に進学。
MBAと教育学修士と博士課程での研究を並列で進めながら、2019年6月にはスタンフォード大学を史上最年少のArjay Miller Scholar(成績優秀者)として卒業。MBAと教育学修士の両学位を取得する。
海外進学や出願にかける思いと情熱からハーバード大学在学中からアメリカやイギリスへの海外進学を希望する受験生を支援するCrimson Educationを立ち上げ、これまで数千人の出願者の成功を導いてきている。
2017年には「Forbes Asia 30 Under 30」に選ばれ、その他数多くの賞を表彰されている。

星:そうした自分自身の大学受験の体験に基づいて、海外進学支援のビジネスを立ち上げたのですね。

ジェイミー:はい。そういった原体験から2013年にクリムゾンを立ち上げ、まずは、ニュージーランドの高校生を世界のトップ大学に合格させる指導を行ってきました。

おかげさまで、2016年には、ハーバード大学やスタンフォード大学に合格したニュージーランドの高校生は全員、また、アイビーリーグに入学した生徒の4分の3はクリムゾンの生徒でした。

現在ではアメリカ、日本、中国も含め、世界約20ヵ国の生徒をサポートしています。

9割の日本人が知らない【1つ目の盲点】

星:海外の大学に合格するために重要な要素とはなんでしょう?

ジェイミー:海外、特にアメリカには特徴的な評価の要素があります。

評価の柱は、大きく3つあります。

1本目の柱は学力です。

学力にもいろいろな要素があるのですが、まず、学校での成績も重要です。

学校側は、あなたが同級生とどのように協力、競争しているか。

高校でのチャンスやリソースをどのように活用しているかに興味があります。

たとえば、学年順位のように、同級生との相対的な成果が重要視されます。

また、国際的なカリキュラムで学んでいる場合はいいのですが、日本など多くの国の教育システムはなかなか認知されていません。

日本の高校卒業資格を持っていても、イギリスの大学に出願できないのが象徴的です。

ここで重要になってくるのが外部試験です。

TOEFL、SAT(米国の大学入学適性試験)、Advanced Placement(アメリカの上級カリキュラム)試験で得られるスコアです。

特に国外受験者は各地域の高校のカリキュラムが違うので、こうした統一テストでの成績が重要になります。

また、メインの学校のカリキュラムもIBやA-Levelsなど、国際的に認識されるカリキュラムでよい成績を取得すると評価が高くなります。

テストスコアや成績だけではありません。

3つ目に重要なのはアカデミック・エンリッチメント、つまり、授業以外での学問体験です。

アメリカの大学の多くは、典型的な科目を超え、自分が熱意を燃やすことのできるニッチな分野を発見した生徒を好みます。

生徒たちは、学校外での、オンラインコースやサマープログラムなど自分の興味に積極的に行動していることを示す必要があります。

星:そうですね、確かに、テストや学校の成績だけではなく、自分が主体となって学問に打ち込んでいることを示すことが必要ですね。

特に、トップクラスの大学であればあるほど、出願者はテストも学校の成績もすべていいわけですから、差がつくのはそこなんですよね。