序列激変#2Photo:PIXTA

新型コロナウイルス感染拡大で、雇用調整助成金の申請と受給は爆発的に伸長。申請手続きを担った社労士たちには空前のバブルが訪れた。しかしそれは、容赦ない淘汰時代の幕開けにもなりそうだ。特集『弁護士 司法書士 社労士 序列激変』(全19回)の#2では、バブルに沸いた社労士業界の深層をレポートする。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)

序列最下位の社労士に吹く
空前の追い風の正体とは

 会社員が仕事をしながら勉強して、合格できる唯一の士業――。

 開業25年のあるベテラン社会保険労務士は、自ら持つ国家資格について、自虐気味にこう表現する。

 実際、弁護士や税理士、公認会計士などを含めた「十士業」の中で、社労士試験は「最も簡単」だと多くの社労士が認める。そのため、会社員出身の社労士は意外と多い。

 試験が通りやすいこともあって、社労士の序列は「十士業の中で一番下」(前出のベテラン社労士)だ。

 ところが今、この序列に変化が出そうな猛烈な追い風が社労士業界に吹いている。その正体は、雇用調整助成金(雇調金)だ。

 新型コロナウイルスによる経済低迷から雇用を守ろうと、政府が受給要件の緩和や手続きの簡素化に踏み切ったことで、申請件数が激増。まさしく「雇調金バブル」が起き、長年固定されていた序列にまで変化が出そうな勢いなのだ。