某大手金融機関に勤めていた著者は、40歳で早期リタイアを考え始め、2019年に資産1億円を達成。51歳で早期リタイアを実現した。初の著書『【エル式】 米国株投資で1億円』では、FIRE(経済的自立と早期退職)の原動力となった米国株投資術を全公開。基礎の基礎から、年代・目的別の投資指南、最強の投資先10銘柄に至るまで、“初心者以上マニア未満”の全個人投資家に即役立つ米国株投資を徹底指南する。

円高Photo: Adobe Stock

米国株投資の基礎知識をわかりやすく伝えるため、Q&A形式で基礎の基礎からお伝えします。

Q 円高・円安による為替リスクが心配ですが大丈夫でしょうか?

A その心配より、円以外にドルで資産を持つことのほうが大切です。

株価と同じように為替はつねに変動していますから、米国株投資のコストは「1米ドルが何円なのか」という為替相場で変わります。

仮に1株113ドルのアップル(AAPL)を買おうとすると、1米ドルが105円なら1万1865円です(手数料などの諸経費を除く=以下同)。

それよりもうんと円高になって1米ドルが85円になれば、1株9605円で買えます。逆に円安になって1米ドルが120円になれば、1株1万3560円となります。

このように米国株を買うなら円高のほうが得しますが、売るなら円安になったほうが得をすることになります。

為替相場を踏まえると、円高になったタイミングで米国株を買い、円安になったタイミングで売るのがベストですが、為替相場がどう動くかは株価以上に未知数です。

世界経済は長期的には右肩上がりで成長すると予測されているため、株式投資は「プラスサムゲーム」であり、市場参加者の損益を合計するとプラスになります。

ところが、為替相場は一国のレートが下がると、もう一方の国のレートは必ず上がるため、参加者の損益は必ず±0となる「ゼロサムゲーム」(ただし株式市場も短期的にはゼロサムゲームとなる局面もあります)。

それだけに予測が難しいのです。

「もっと円高になってから米国株を買おう」とか「もっと円安になったら米国株を売ろう」などと思っていたら、効率的かつ機動的な米国株投資ができなくなります。

気になる銘柄があったら、為替相場よりも株価の動きに注目して投資しましょう。

見方を変えると、米国株投資は円ではなく米ドルで金融資産を持つということ。

為替はゼロサムゲームなので、米ドルが上がってドル高になると、円は下がって円安になり、円が上がって円高になると、米ドルは下がってドル安になります。

どちらに転んでもいいように、金融資産は円建てでも米ドル建てでも保有しておくべき。

米ドル建てのもっとも有力な金融資産が、米国株なのです。

日本円の貯金や日本株投資のみだと、金融資産は100%円建てです。

現在の日本はずっとデフレが続いていますが、この先日本がインフレになると円建ての金融資産の資産価値は軒並み下落してしまいます。

短期的にはドル安になり、米ドル建ての資産である米国株の資産価値が下がる局面もあるでしょうが、世界の基軸通貨である米ドル建ての資産を持つことは、中長期的な為替リスクをヘッジする有力な手段の1つ。

日本人が資産運用を考えるうえで、円建ての金融資産のみで、米国株のようなドル建て資産を持たないことは、むしろ大きなリスクです。