ファミリーマートPhoto:Diamond

ファミリーマートが7月から、加盟店での食品値下げをしやすくする「エコ割」を始めました。しかし加盟店向け説明資料をひもとくと、商品だけでなく値下げ額からも原価を差し引く仕組みが新たに設けられ、旧来の値下げルールより加盟店の取り分が少なくなることが分かります。マスコミには公表されていない「不都合な真実」を具体的に説明します。(コンビニ研究家 織部佳治)

SDGs大はやりの風潮で飛び出した
ファミマ「エコ割」の不都合な真実

「持続可能な開発目標」、いわゆるSDGsについて関心が高まっています。貧困やジェンダー平等、質の高い教育の拡大など広範な17の目標が掲げられているのですが、日本の大手企業では主に、二酸化炭素の排出抑制と、食品ロスの削減に注目が集まっているきらいがあるように思います。

 食品ロスで最も注目されているのは、コンビニエンスストアです。ついこの間までフランチャイズ加盟店は、「廃棄は投資」と本部社員に“指導”され、店の棚いっぱいに弁当や総菜、パンやおにぎりを並べてきました。

 売れ残り、消費期限を過ぎて廃棄することになっても、廃棄額の大半は加盟店の負担になります。それだけお客様の選択肢が広がり、来店や買い上げ機会の増加につながるというのが本部側の説明でした。最大手のセブン-イレブン・ジャパン(SEJ)はファミリーマート、ローソンよりもとりわけその傾向が強いといいます。

 ただ2019年以降、24時間営業などコンビニ加盟店の過度な負担がクローズアップされ、経済産業省や公正取引委員会が実態を詳しく調査しました。同時に食品ロスへの批判も高まり、コンビニ各社が改善を迫られました。

 そこで、業界2位のファミマが7月からスタートさせたのが、消費期限が迫った食品を加盟店が見切り販売(値引き販売)することを促進する「エコ割」です。日本経済新聞電子版に6月14日に掲載された記事によると、これまでは値引きの際に伝票作成が必要で手間がかかっていましたが、これを簡略化し、レジでバーコードを読み取るだけでできるようになります。これまでより食品ロスを3割削減できるようになるといいます。

ファミリーマートエコ割エコ割 Photo:Diamond

 大変好ましい仕組みであるように思えますが、私が入手したファミマの内部資料によると、値下げをした金額の一部を加盟店が新たに負担する仕組みとなっていることが分かりました。日経などの記事にはまったく出てきませんが、はっきり言って、SEJで見切り販売する場合より、加盟店オーナー側に不利な計算方法なのです。詳しく見てみましょう。