大分県で生まれ育ち、小・中・高と地元の公立校、塾通いも海外留学経験もないまま、ハーバード大学に現役合格した『私がハーバードで学んだ世界最高の「考える力」』の著者・廣津留すみれさん。ハーバードを首席で卒業後、ニューヨークのジュリアード音楽院に進学、こちらも首席で卒業。現在はテレビ朝日系『羽鳥慎一 モーニングショー』のコメンテーターとしても活躍しています。すみれさんが学び、実践してきた「考える力」を、いかに個人や組織で実践するか? 事例やエピソードとともに、わかりやすく紹介します。

意見交換Photo: Adobe Stock

相手をリスペクトして
違いを受け入れるようにしよう

オープンマインドへの第一ステップは、相手の意見に耳を傾けようと意識することだと思います。その点、私が学んだハーバードとジュリアードは対照的でした。

ハーバードには、各分野の天才たちが集まっています。

異なる分野の突出した人材が集まっている環境では、お互いに尊敬し合える雰囲気が自然に出来上がっています。

「数学」の天才は「文学」の天才に嫉妬しませんし、逆もまた然りです。

天才同士はお互いの分野に興味津々で、尊敬する相手から意見を聞こうとします。

相手をリスペクトする心がベースにありますから、ハーバードのような環境では、自分の意見に固執して一方的にゴリ押しするような人はほとんどいませんでした。

いわば、他者の意見を「そういう考え方もあるね、面白い!」とオープンマインドに受け入れることが当たり前だったのです。

対照的にジュリアードは、音楽という閉じられた世界で純粋培養された天才たちの集まりです。

音楽の世界は、自分の世界観を追求するのが仕事のようなもの。ですから、世界観の異なる他人の演奏を聴いて、素直に「いいね!」とオープンマインドでいられる人は少数派です。

そういう意味では知的好奇心の強いハーバード生のほうが、職人気質で音楽という領域をピンポイントで掘り下げているジュリアード生よりも頭が柔らかいと感じます。

グローバルな社会では、異なる文化背景で育った人同士が、活発に触れ合う機会が多いです。

そのときにオープンマインドで、なるべく多くの人たちと触れ合えたら、知性が大いに刺激されます。

日本でも本格的に多人種多文化のダイバーシティ(多様性)が重視されるようになってきました。

同じような背景を持つ日本人同士で、似たような意見を交わしあっていても、世界をあっと驚かすようなアイデアは出にくいからです。

ダイバーシティが豊かな環境では、オープンマインドでいることが大切になります。

互いの文化的・社会的背景に配慮しつつ、そこから生まれる新しいアイデアを偏見なく受け入れる姿勢は、イノベーションのきっかけとなるでしょう。