「従業員持株会を休止する」──。

 1月中旬、日本郵政グループ社員に、そんな内容の案内状が届いた。24日の給料日からは株式購入の「天引き」もなくなったという。

 2007年の郵政民営化当初から、当時の西川善文・日本郵政社長は、日本郵政とゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の2010年上場を掲げていたが、昨年12月の郵政株式売却凍結法案の可決を受けて白旗を掲げる羽目になった。

 社員の士気を高め、同時に上場後の安定株主を確保するため、持株会への加入は半ばノルマと化していた。現在では、1口1000円の持株会に対象となる正社員約23万人の6割弱が加入している。

 給与天引きこそなくなったものの、持株会は一度脱退すると再加入できないため、これまでの拠出金は塩漬けにするしかない。上司に口説かれて渋々加入した現場職員の恨み節が早くも聞こえてくる。

 郵政株式売却凍結法案は3月から国会審議の始まる郵政改革法案が成立すれば解除されるが、上場計画の先行きは依然として不透明なままだ。

 すでに発表されている郵政改革法案の政府素案によれば、持ち株会社である日本郵政傘下の郵便、郵便局(窓口)、ゆうちょ、かんぽ4社のうち、郵便と郵便局を日本郵政に合併し、これにゆうちょとかんぽの金融2社がぶら下がるかたちになる。

 加えて、ゆうちょ、かんぽには新たに全国一律サービスが義務づけられるため、金融2社の収益計画が当初見通しより厳しくなるのは確実で、上場後の成長シナリオも描きにくい。

 上場の自信があれば、なにも毎月の積み立てをストップするまでもなく、「まさか上場計画そのものがなくなってしまうのでは」と社員は案じ顔だ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 小出康成)

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