トヨタ・ホンダの電動化戦略の違いとは?「脱炭素」シフト最適解の見極め方世界的な脱炭素シフトの中で自動車メーカーの戦略の違いが明らかになってきている Photo:Ralph Orlowski/gettyimages

自動車の脱炭素化で、EV(電気自動車)は主役だが、唯一解とするのは早計だ。発電事情や補助金政策も絡み、国ごとに脱炭素への最適解は異なる。EVへの投資を積極化する以上に、EVの需要予測が難しい中で、変化への対応力を高めていけるかが重要と考える。(大和証券エクイティ調査部チーフアナリスト 箱守英治)

自動車環境規制は
走行規制から「LCA視点」へ

 米テスラの台頭や、欧州や中国での環境規制などに端を発し、EV(電気自動車)の存在感が急速に高まっている。脱炭素に向けた潮流と相まって、「内燃機関禁止」を掲げる政府方針も出てきた。時間軸の議論は別としても、自動車需要がEVなどのエコカーに置き換わるのはほぼ確実であろう。

 EVは走行時においては、CO2を排出せず、「エコ」なのは間違いない。ただし、近年は欧州などで「LCA(ライフサイクルアセスメント)」の議論も活発化している。走行時のみならず、自動車生産やエネルギー生成、走行、廃棄、再利用なども含めて、総合的にCO2排出量を評価すべきだとの議論である(図表1)。25年以降の環境規制では、LCAでCO2排出量を評価する動きが本格化する可能性がある。

現在の環境規制とLCA規制の概略図(図表1)現在の環境規制とLCA規制の概略図 出所:大和証券作成 拡大画像表示

 それでは、LCA視点で見た場合、「エコカーの基準」は変わってくるのだろうか?