海外の節税 富裕層の相続#1Photo:EXTREME-PHOTOGRAPHER/gettyimages

海外移住やタックスヘイブン(租税回避地)を利用した節税手段はあまたある。では、今最も「アツい」海外節税トレンドは何?特集『海外の節税 富裕層の相続』(全21回)の#1では、富裕層の節税の実態に詳しい金融関係者、税理士、資産家によるぶちまけ座談会をお届けする。(聞き手/ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

座談会参加者プロフ(仮名)
 長谷川忠宣 日本人資産家、マレーシア在住
 佐嶋一平 税理士
 沢田信次 税理士、シンガポールでの営業経験あり
 大滝五郎 富裕層の資産運用業務に従事
 舟形義彦 元外資系プライベートバンク勤務

節税したいときに目指すべき国はどこ?
知られざる租税回避地の選び方

――今回のお題は海外の節税事情です。どこの国なら節税がやりやすいのでしょうか?

長谷川 基本は金融大国といわれるスイス、シンガポールですね。金融制度と金融法がしっかりしているところを選ぶべきです。日本在住でもスイス、シンガポールに口座を持って、税金がかかるけど運用している人もいるくらいですからね。僕も昔そうでしたし。

佐嶋 全体的に言えることですけど、オフショア国だからといって法律的に安定してない、金融詐欺が横行している国とかは厳しいですよね。節税などのいわゆる金融で使われる国は元々英国領で英国の法律が使われているところが多い。集団投資スキームとかで使われるのもそういうところです。宗主国があり、イギリス法がなじんでいる国が基本。

長谷川 まさしく。女王陛下の資産を置いている英国のマン島もそうですけど、シンガポールやマレーシアもそう。旧英領でもオーストラリア、カナダはもう民主的な相続税しか許してくれない状況になってますが。だいたい絞り込まれてきてますよね。シンガポールとスイスが駄目になったらもう世界中駄目じゃないかな?

沢田 日本にいながら外国を使って節税は難しいですよね。出ていけば税金はかからない。

――節税のために海外脱出する方はやはりかなり多いのでしょうか。

沢田 シンガポールに節税目的で出国する人は、やっぱりまだすごく多いですよ。海外に出ちゃうのが節税には手っ取り早いのは事実です。

長谷川 日本で節税しようとしても日本の法律の中でしかできないしね。いくら日本に住んで海外で資産を運用していても、居住がどこかで税金がどうなるかが決まってしまう。海外のキャピタルゲイン課税のない国に出る最大のメリットは、日本では得られない税制を利用できることですね。

――国ごとに節税事情は異なるんでしょうか。日本人が節税しやすい海外の地域はありますか?リスクと共に教えてもらえないでしょうか。