小山田圭吾氏が辞任、「いじめ問題」をスルーしようとした五輪組織委の大失態Photo:Atsushi Tomura/gettyimages

東京オリンピック・パラリンピック(以下、東京五輪)の開会式で楽曲を担当していた小山田圭吾氏が、突然辞意を表明した。彼が過去に雑誌のインタビューで学生時代にいじめを行っていたと告白していたことが、ネットで炎上したからだ。しかし問題はこれだけではない。今回明らかになったのは、組織委員会の人権問題に対する認識不足ではないか。(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)

組織委員会は加害者側に立って「理解」を求めていた

 小山田氏は学生時代に、同級生を箱に閉じ込めたり、障がいのある生徒をからかったりした経験を「武勇伝」のごとく、過去の雑誌インタビューで語っていた。今回の炎上を受けて、ツイッターに謝罪文を掲載したが、楽曲制作は引き続き担当し、辞任しないと表明したことで、炎上はさらに拡大。ついに、昨夜、辞意を表明した(19日20時現在)。

 小山田氏が辞任する前、組織委員会の武藤敏郎事務総長は記者会見で「十分に謝罪し、反省している。このタイミングでもあるので引き続き支え、貢献してもらいたい」と、小山田氏続投に理解を求めていた。

 「理解を求める」とは、いったい何を理解しろということだったのだろうか。理解が足りていないのは、加害者側の方だったのではないか。