五輪後の不動産・マンション#6Photo:PIXTA

東京都内のオフィス空室率が上昇を続けている。コロナ禍前まで逼迫していたオフィス市場は貸し手と借り手の立場が逆転した。特集『五輪後の不動産・マンション』(全12回)の#6では、空室を避けるために「家賃0円」サービスをはじめとした窮余の策が繰り出されている現状をレポートする。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

都心5区の空室率
コロナ禍で悪化の一途

「われわれはオフィス移転の動きさえあればいいので、そう悲観していない。でもオーナーはかわいそうだよ」。都内の中小不動産仲介業者はオフィス市場の異変に対し心情を語った。

 新型コロナウイルスの感染拡大を機に東京都内主要5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィス空室率悪化が止まらない。

 オフィス仲介大手の三幸エステートによると、2021年6月末時点の都内主要5区のオフィス空室率は3.61%。この1年間で2.71ポイントも上昇した。テナント退去前のオフィスも含めた潜在空室率では、6月末時点で7.30%まで悪化している。

 それに伴って募集賃料のダウンが進行中で、共益費込みの平均坪単価は2万2629円(21年1~3月、オフィスビル総合研究所調べ)。同研究所の予測では、3年後にはマイナス18.7%の同1万8393円まで落ち込む。

 そんなコロナ禍のオフィス市況ならではの合理的な理由で、「賃料0円」物件が募集されている。