星野リゾートは海外展開を加速させている。現在までにインドネシア・バリ島、台湾、米ハワイ、中国の4カ所。さらに北米に展開する、と代表の星野佳路さんは強調する。「グローバル展開にアクセルを踏むのは今しかない」のはなぜか、そしてグローバル展開に必須条件という「現地の人々の心にスーッと入る説明不要のアプローチ」とは?

星野リゾートはなぜ海外展開を加速させるのか

 星野リゾートは2017年の「星のやバリ」開業以降、海外での運営を積極的に展開し、台湾の「星のやグーグァン」、ハワイ・オアフ島「星野リゾート サーフジャック ハワイ」、中国の「嘉助天台」、現時点で4施設を運営しており、今後も機会をいただければどんどん展開していきたいと考えています。

 現時点での星野リゾートの運営の仕組みは、国内運営に最適化されています。人材の厚み、予約システムの機能、日本各地での食材調達のネットワークなどなど日本最適であり、次の1案件に取り組むときに、それが国内である方がはるかに効率的で、リスクはなく、そして運営会社としての収益率も高いのです。もし、星野リゾートが上場企業であれば、私たちが海外案件に取り組めば取り組むほど収益率は落ち、株価は下がり、経営者はこの戦略を継続できないかもしれません。星野リゾートはファミリービジネスであることから、短期的な成果の優先順位は低く、真に長期的に必要な戦略に集中できる環境にあります。

星野リゾート代表が、コロナ禍でも海外展開は「今しかない」と考える理由星野リゾートが海外展開を加速させる理由は?(写真はイメージです) Photo:Adobe Stock

 なぜ、長期的に海外進出が必要であると考えているのか。大きく二つの理由があります。