某大手金融機関に勤めていた著者は、40歳で早期リタイアを考え始め、2019年に資産1億円を達成。51歳で早期リタイアを実現した。初の著書『【エル式】 米国株投資で1億円』では、FIRE(経済的自立と早期退職)の原動力となった米国株投資術を全公開。基礎の基礎から、年代・目的別の投資指南、最強の投資先10銘柄に至るまで、“初心者以上マニア未満”の全個人投資家に即役立つ米国株投資を徹底指南する。

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「経済的な堀が深い企業がいい」

3 高い収益性・競争力がある

企業の目標は、突き詰めると収益を上げることですから、「収益性」の高さは企業の本質的な価値を表します。

収益性の指標にはいろいろありますが、私は基本的に企業の収入に占める利益の割合である「営業利益率」で収益性を判断しています。

さらに重視しているのが、営業活動で生じる現金収支である「営業キャッシュフロー」です。

これは「現金を稼ぐ力」を示すともいえます。

収益性と並んで大事になるのが、高い「競争力」です。

収益性が高く、儲かるビジネスには、多くのライバルが存在します。

成功を夢見て新たに参入する企業もあるでしょう。

しかし、いくら収益性が高くても、競争力が足りなかったら、ライバルたちに打ち勝つことはできません。

競争力の重要性を、かのバフェット氏は「経済的な堀が深い企業がいい」という表現で端的に表わしています。

深い堀を英語で「ワイド・モート」(WIDE MOAT)といいます。

深い堀が幾重にも巡らされた城は、難攻不落です。同じように経済的な堀が深い企業は、ライバルの挑戦をはね除けて成長を続け、高い収益性をキープできるのです。

競争力を生み出す経済的な堀には、いくつかの要因があります。

いちばんに挙げられるのは、「ブランド力」です。

スマートフォンは多くの企業から発売されていますが、アップルの「iPhone」とサムソンの「Galaxy」にはブランド力があり、世界でのシェア(市場占有率)を高めています。

炭酸飲料もたくさんありますが、いまだにコカ・コーラが売れ続けているのは、ブランド力が圧倒的に強いからでしょう。

私は製薬会社にはそれほど好んで投資しませんが、製薬会社の特許も経済的な堀として機能します。

仮に、新型コロナウイルスの治療薬を開発して特許がとれたら、一気に競争力が高まりブランド力がアップするでしょう。

次に挙げられるのは、「ネットワーク効果」です。

ネットワーク効果は、互換性のある製品やサービスを利用するユーザーが多くなればなるほど、ユーザーが得られる効用も高まり、競争力が高まるという現象です。

たとえば、クレジットカードのビザ(V)は、ビザが使える加盟店のネットワークを世界的に広げています。

ビザは、クレジットカードの国際ブランドで最大のネットワークを誇り、全世界におよそ5000万店の加盟店があるそうです。

そうなると、ユーザーとしてクレジットカードを1つ持つとしたら、ビザが第1選択肢になります。

GAFAMのビジネスモデルも、ネットワーク効果が高いことが特徴です。

グーグルは、主要国の検索エンジンではパソコンでもスマホでも80~90%という驚異的なシェアを誇っています。

ほぼ唯一の例外といえるのが中国。中国では「Baidu」(百度)という検索エンジンが大きなシェアを占めています。

その中国を除けば、検索に結びついたデジタル広告を出すなら、グーグル一択になるでしょう。

アマゾンは、ネット通販などのEC(電子商取引)市場で圧倒的な強さを誇っています。

通販に出品する人も、通販で買う人も、アマゾンを使うのが第1選択肢になるはずです。

ビザのクレジットカード業界にしても、グーグルの検索エンジン業界にしても、アマゾンのEC市場にしても、いくら収益性が高くても、いまから新規参入して大きく成長する企業はおそらくないでしょう。

それは、彼らが長年かけて培ってきた経済的な堀の深さによる、高い競争力のおかげなのです。