品川駅コンコースPhoto:PIXTA

労働分配率をめぐる「真実」
成長の「鍵」は分配率の高低ではない

 労働分配率が超長期にわたって低下しているという指摘や、特に2000年代になって世界的に低下しているという見方がある。消費低迷など経済停滞の一因が労働分配率の低下にあるという見方もある。

 こうしたことも背景にあって、2021年度の最低賃金は全国平均で28円と過去最高の大幅引き上げが決まった。一方で、コロナ禍で売り上げが急減した非製造業を中心に人件費の負担感が一段と大きくなり、賃下げや雇用削減の圧力も強まっている。

 コロナ後も労働分配率の低下は続くのだろうか。そしてそのことが経済回復の足取りを弱めることになるのだろうか。

 結論からいえば、労働分配率が高いか低いかということ自体は今後の経済回復にはそれほど重要ではない。労働分配率をめぐる経済成長の「鍵」は別のところにある。