デルタ株感染拡大、アジア景気回復が失速Photo:NurPhoto/gettyimages

【香港】アジアは世界の力強い景気回復の弱点となりつつある。新型コロナウイルス対策の規制によって一部の国で製造業にブレーキがかかっている上、中国では回復の原動力となってきた輸出に減速兆候が見えている。

 アジアは欧米に比べワクチン接種の進捗(しんちょく)が遅く、コロナ変異ウイルスのデルタ株が猛威を振るう中、感染者数が過去最高を塗り替えている。感染拡大は消費者心理を悪化させ、多くのアジア諸国が製造業大国としての優位性を失う恐れがある。

 東南アジアの国々はとりわけ打撃が大きく、感染拡大の初期にはおおむね回避できていたソーシャルディスタンシング(対人距離の確保)やロックダウン(都市封鎖)が新たに導入された。東南アジア7カ国の製造業生産量は昨年5月以来の大幅な減少となった。調査会社IHSマークイットによると、最も大きな打撃を被ったのはインドネシアとマレーシアで、両国はこのところ新型コロナの感染者と死者の急増に直面している。