生命保険写真はイメージです Photo:PIXTA

生命保険の販売において今、最も競争が激しいのが乗り合い代理店市場だ。国内大手生命保険会社は相次いで子会社を設立し、攻勢を強めている。競争を優位に進めているのは住友生命保険の子会社であるメディケア生命保険。最新の21年度第1四半期(1Q)決算の数字でも、その勢いが明らかになっている。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)

チューリッヒ生命が代理店へ
通知した「身を削る決断」

 複数の生命保険会社と代理店契約を結び、来店型のショップや訪問販売で保険商品を販売する乗り合い代理店市場。その乗り合い代理店市場で今、大手生命保険会社が子会社を通して、死力を尽くすシェア争いを繰り広げている。

「身を削る決断ですね」

 大手生保関係者は、チューリッヒ生命が8月上旬に乗り合い代理店に通知した内容を聞いて、そう話す。

 決断というのは、チューリッヒ生命が9月2日から「終身ガン治療保険プレミアムZ」「3大疾病保険プレミアムZ」「終身医療保険プレミアムDX」の三つの商品において、最低保険料を月払い1500円から1000円に、年払い1万5000円から1万円に引き下げるというものだ。最低保険料を下げることで、1件でも多くの契約を獲得する狙いがあるとみられる。

 だが、チューリッヒ生命の決断は、無理もないことだろう。生保各社が抜きつ抜かれつの激しい競争を繰り広げるこの1年間で、市場は住友生命保険の子会社であるメディケア生命の独走状態になりつつあるからだ。

 それは2021年度第1四半期を見ても明らかだ。メディケア生命の新契約件数は前年同期比86%増の8万7000件、新契約年換算保険料は同81.7%増の48億1600万円という大躍進を遂げた。はなさく生命も、新契約件数は前年同期比2.5倍の約3万件、新契約年換算保険料は2.3倍の約18億9000万円と契約を伸ばしたが、メディケアの独走を止める存在にはなれていない。

 メディケアの独走の背景には何があるのか。