ホリエモンこと堀江貴文の最新刊『マンガ版ゼロ』では、幼少期から現在に至る彼の人生をマンガでエキサイティングに描き、そこから浮かび上がる仕事論・人生論を分かりやすくまとめている。
いまでこそ実業家として幅広く活躍するホリエモンだが、高校時代は将来のことなど考えられず、目の前の楽しいことに流される自堕落な日々を送っていた。そんな彼が、どのようにして東大受験をクリアし、夢を実現していくきっかけをつかんだのか? さらには、その経験から知り得た「勉強することの本当の意味」とは?『マンガ版ゼロ』の内容を特別に紹介する連載の第8回!(連載の過去記事はこちらから)

東大合格も実現できる! ホリエモンが教える「ハマる」ことの凄いパワー!

なぜ東大受験を決心したのか

 高校3年になると、それまで勉強をサボり自堕落な日々を送っていた僕にも、真剣に進路を考えるべきときがやってきた。

 そもそも僕には、進学を希望する大学はなかった。最大の目標は「ここ」から脱出すること。抜け出したい場所が九州なのか、福岡なのか、八女なのか、あるいは堀江家なのか、よくわからない。とにかく、もう「ここ」での生活には、うんざりしきっていた。

 となればやはり、目指すべきは東京の大学だ。しかし私立は金銭的に無理である。仮に早稲田や慶應に受かったとしても、「金がないから実家から九州大学へ通え」と言われるだけだろう。いや、そもそも東京の私大なんて、受験さえさせてもらえなかったかもしれない。

東大合格も実現できる! ホリエモンが教える「ハマる」ことの凄いパワー!

 そう考えていくと、選択肢はひとつしかない。そう、うちの親でも知ってる日本一の大学、東京大学に合格するしかなかった。さすがに東大に現役合格してしまえば、この頑固な両親でも上京を認めるだろう。

 狙うのは、最も合格できる確率が高かった文科三類。目標が定まると、僕は東大の「赤本」を購入し、自分なりに作戦を練っていった。

大切なのはハマること

 その結果、文三に合格するための最大のポイントは英語だとわかった。当時、僕の英語の実力は模試の正解率が5~6割。まさしく判定不能、「あきらめなさい」のレベルである。

 しかし過去問を何度も読み返した結果、「受験英語とは英単語を極めることに尽きる」との結論に行き着いた。単語力の強化こそ、そのまま英語力の強化に直結する。それが受験英語だ。

 そこで英語教師におすすめの単語帳を教えてもらい、片っ端から暗記することにした。単語帳の隅から隅まで、派生語や例文も含めてすべてを「丸暗記」していくのだ。

 こう書くと、血の滲むような努力をしたと思われるかもしれない。しかし、まったくそんなことはなかった。実際、当時の僕は毎日10時間の睡眠を確保していた。ただし、起きている14時間はすべて勉強に充てる。そのほうがずっと集中できるからだ。

 勉強でも仕事でも、歯を食いしばって寝ずに努力したところで大した成果は得られない。大切なのは「ハマる」こと。なにもかも忘れるくらいに没頭することだ。

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 じゃあ、どうすればハマれるのか?

 ゲームや漫画みたいな娯楽ならともかく、勉強や仕事に対して、どうすればハマることができるのか?

 僕の答えは「自分の手でルールをつくること」である。そしてルールづくりのポイントは、とにかく「遠くを見ないこと」に尽きる。

 英語の勉強では、僕は1日2ページ単語帳を必ず丸暗記する、という手近なルールを設定した。仮に調子がよく、3ページでも4ページでも憶えられそうな日も、2ページでやめておく。12月に終える予定だったが、秋口には全ページを暗記することができた。

 自分で決めた、しかも無理のないルールだったからこそ、納得感を持って取り組むことができたし、やらざるをえなかった。それまでの勉強が新聞配達的な、「やらされる勉強」だったのに対し、ここでの英語はパソコンのシステム移植的な、「やる勉強」になったのだ。

 実際、単語帳の丸暗記は面白くてたまらないゲームとなり、英語についてはほぼこれだけの勉強で、3年冬の模試で9割以上の正解率を叩き出した。Fだった判定も最終的にC判定まで上昇する。この段階で「よし、合格できる!」と確信した。

 結果的に、僕は現役で東大に合格することができた。

 当時を振り返って思うのは、勉強とは大人に対する「説得のツール」だったことだ。子どもは、大人の都合に逆らえない無力な存在だ。しかし、勉強という建前さえ掲げておけば、大抵のわがままは通る。八女から久留米の街に出るときも、柔道の練習を休むときも、パソコンを購入するときも、そして上京するときも、すべて僕は「勉強のため」という旗を掲げて自分の意志を押し通した。

 だから僕は、受験勉強が無駄だとはまったく思わない。子どもにとって、周囲の大人を説得し、自分で自分の道を切りひらく最強のツールは、勉強なのだ。

(次回に続く。※この記事は、『マンガ版 ゼロ』からの抜粋です。)

堀江貴文(ほりえ・たかふみ)
東大合格も実現できる! ホリエモンが教える「ハマる」ことの凄いパワー!

1972年福岡県八女市生まれ。実業家。(株)ライブドア元代表取締役CEO。SNS media&consulting(株)ファウンダー。東京大学在学中の96年にオン・ザ・エッヂ(後のライブドア)を起業。2000年、東証マザーズ上場。04年以降、近鉄バファローズやニッポン放送の買収、衆議院総選挙への立候補などで既得権益と戦う姿が若者から支持を集め時代の寵児に。しかし06年1月に証券取引法違反容疑で逮捕され法廷闘争の末に実刑判決を受ける。11年6月に収監され長野刑務所にて服役。本書の原作『ゼロ』刊行直後の13年11月に刑期を終了し、ふたたび「ゼロ」からの新たなスタートを切った。現在は宇宙ロケット開発、アプリ開発、オンラインサロン運営などで幅広く活躍。