英語の雑談を切り抜ける方法筆者が海外出張時の雑談で気づいたこととは…? Photo:PIXTA

『不登校の女子高生が日本トップクラスの同時通訳者になれた理由』の著者で、ダライ・ラマ、テイラー・スウィフト、ビル・ゲイツ、デビッド・ベッカム、オードリー・タンなどの同時通訳を務めてきた田中慶子さんが、日常やビジネスで役立つ「生きた英語」をやさしく解説します。今回のテーマは「英語の雑談」。英語が苦手な人はどのように切り抜ければよいのでしょうか?(同時通訳者 田中慶子)

英語での雑談の場、本音は
「早くこの場から解放されたい」…

 英語関連のお悩みで意外に多いのが、「雑談が苦手」というもの。

 自分の専門分野の仕事であれば、たとえ英語環境下でも何とかなるけれど、会食や交流会などでたわいのない会話、つまり「雑談」となると、何を話せばよいのかわからない…。こういうかたは、けっこう多いのではないでしょうか?

 相手の話を理解するには、その内容に関しての知識をあなたが持っているかどうかでずいぶん変わってきます。母国語ではない言語でコミュニケーションをする際、理解度を高めるためには、事前に知識を得ておく、つまり「予習」しておくことが何より重要です。

 私が初めて予習の大切さを実感したのは、高校卒業後、アメリカで学生生活を送っているとき。授業に出席しても、当然ながらすべて英語なので、まったくもってチンプンカンプン。授業の内容がまったくわかりませんでした。

 でも、ありがたいことに、「次回は第○章のどこどこ」とか「教科書の○ページから」と、授業の終わりに先生が予告してくれました。この予告を頼りに、私は毎回、必死で予習をしました。

 予告された箇所を隅から隅まで読んで、知らない単語を調べまくりました。と言っても、当時の私の英語力では知らない単語ばかり。「教科書を読む」と言うよりも、「ひたすら辞書を引いている」と言うほうが合っているかもしれません(笑)。

 それでも時間をかけて一生懸命、予習をすると、ある程度、内容を把握することができます。その状態で授業にのぞむことで、ようやく授業についていけるようになりました。まずは予習で自分なりに理解し、授業では先生の話を聞きながら、頭の中で理解が正しいかを「確認」するんです。

 ときどき、予習すべき箇所を間違えたり、先生が急きょ、予定を変更して予告時と違う箇所を授業で取り上げたりすると、自分でも驚くほど理解度が落ちました。「予習」と「理解」の関係は本当に深いんです。

仕事に追われていると
英語の学習に時間を割くことが難しい

 でもこれは学校の授業の話。社会人になってからの英語での「雑談」は、事前に相手が話題を予告してくれるわけではありません。会話の展開というのは予測することができませんよね。英語のスキル不足を予習でカバーすることが難しい。ヒヤヒヤしながら、苦手意識を感じながら、「早くこの場から解放されたい」と願いたくなる気持ちは痛いほどわかります。

 もちろん、「猛勉強して、雑談が怖くなるほどの英語力を身に付けるぞ!」という志を持つかたもいるでしょう。一方で、「それができれば苦労はしない」「そんな悠長なこと言っている場合ではない」「今できることを知りたい」と考えるかたも多くいます。日々、仕事に追われていると、学生時代のように、英語の学習に時間を割くことが難しくなるのは当然です。

 そのようなかたにオススメの方法があります。