生保3社の医療保険がターゲット、「逆選択」案件が保険ショップで頻発

各地の保険ショップに
不審な案件が同時多発的に頻発

 「いったい何が起こっているんだ……」

 来店型保険ショップを複数展開する保険代理店の首脳は絶句した。8月10日過ぎから、各地の保険ショップで同種の不可解な案件が数十件、同時多発的に発生していたからだ。

 不可解な案件の中身とはこうだ。

・他者から入手した医療保険の設計書(44歳・男性・入院日額2万円)のコピーを持参し、設計書に記載された医療保険への加入を強く希望する。

・他社商品との比較を行い、先進医療特約などを案内しても拒否、設計書通りの内容にこだわる。

・設計書を作成した提案者経由での加入を勧めても、「関係が悪化している」「遠方にいる」などの理由により訪問した店舗での加入を希望する。また、提案者について聞いても明確に答えない。

・健康診断の結果などを持参するなど事前準備をした上で来店し、当日加入にこだわる。また、契約の成立までの流れを非常に気にする。

・不動産所得や株取引による収益などを含めて年収2000万〜3000万円であると申告する。

 こうした通常の来店者とは全く異なる来店者が訪れる事例が、首都圏の保険ショップを中心に全国的に起こっているのだ。また、保険ショップだけでなく、保険の見込み客情報であるリーズ案件にも紛れ込んでいるという。

 むろん、1人の来店者が複数の保険ショップを訪れているのではない。それぞれの別の人物たちがあちこちの店舗を訪れ、中にはスマートフォンの画面やメモを見ながら加入の意向を伝えるケースもあるという。狙いはいったい何なのか。ターゲットとされた医療保険は生命保険会社3社の商品に限られており、そこに謎を解くカギが隠されている。