金融庁が「つみたてNISA」を勧める切実な理由、日本がダメになっても大丈夫?写真はイメージです Photo:PIXTA

資産形成のため、若い世代も投資をするようになってきました。中でも、「つみたてNISA」を始める人は急増しています。しかし「NISA」には、積み立てではない「一般NISA」もあります。ただ今更、一般NISAを始めるのはおすすめしません。今回は、「一般NISA」よりも「つみたてNISA」をすべき理由と背景を解説します。(セゾン投信代表取締役会長CEO 中野晴啓)

「つみたてNISA」と「一般NISA」が別々に存在する理由

 コロナ禍は生活様式から働き方までさまざまな価値観の変化をもたらしましたが、「投資」に対しても特に若い世代においては悪いイメージが払しょくされて、資産形成という目的にのっとった人生に必要な行動と認識され始めたようです。

 その証左として、「つみたてNISA」の口座数はコロナ禍中において急伸し2021年3月末時点で361万口座を超えました。とりわけ40代以下の現役世代で新規参加者の4分の3を占めるなど、「投資=お金に余裕のあるシニア世代が主役」というこれまでの図式からの転換が起きています(参照) 。

 ところで、「つみたてNISA」は「一般NISA」のあとからできた制度です。「一般NISA」があり、それなりの金額が金融機関に集まっていたにもかかわらず、なぜ制度化されたのでしょう。

「一般NISA」は2014年から年間100万円までの投資金額が非課税となる制度としてスタートしました。ただスタートする前は、このような条件でスタートするつもりはなかったようです。

 この制度構築にあたって、当時、行政当局たる金融庁は非課税期間10年で上限枠120万円を前提に法案を準備していました。しかし、金持ち優遇と騒ぐ野党や税制調査会らの反発に遭って、結局非課税期間は5年に短縮され、上限枠も当初100万円に抑えられてしまいました(現在は120万円)。

 そのため当局は毎月積み立て投資での国民参加を期待していましたが、12カ月できれいに割り切れない上限金額だったため、積み立て投資への納得性を欠いてしまったのです。

 しかし、これからもし日本経済が成長できなくなってしまった場合などを考えると、積み立て投資は国民が生き残るために必要な備えになります。