イミドテックスを手にする阪根社長イミドテックスを手にする阪根社長(IST提供)

米デュポン社からポリイミド事業買収

 アメリカのデュポンやモンサント(現バイエル)といえば、世界的な化学メーカーである。その大手から事業を友好的M&A(合併・買収)で取得し、世界有数の技術開発力を獲得してきたのが滋賀県に本社を置くアイ.エス.テイ(以下、IST)だ。

 ISTはポリイミド樹脂を中心とした高機能材料や複合材料開発で高い技術力を持ち、目に見えないところでさまざまな工業製品を支えるグローバル・オンリーワン企業である。

 ポリイミド樹脂とは高耐熱性、高絶縁性、高強度など優れた特性を持つ高機能樹脂で、デュポン社が初めて製品化した。ISTは1994年に同社から電線被膜用のポリイミド樹脂事業を買収し、ニュージャージー州に現地法人を設立、研究開発や製造、販売の拠点となっている。

「このM&Aによって当社は原材料の開発から製造、販売まで一貫したビジネス・コントロールを実現し、大きなアドバンテージを得ることができました。ただし、主眼はあくまで研究開発にあり、販売拡大を狙ったM&Aではありません」と、同社社長の阪根利子(52歳)は語る。

 その高い技術力で、キヤノンなどとの取引が拡大し、身近なところで同社の製品が使われている。