韓国で120万部のミリオンセラーとなった話題書がある。『どうかご自愛ください ~精神科医が教える「自尊感情」回復レッスン』だ。精神科医である著者が「自尊感情(≒自己肯定感)」の回復法を指南した一冊である。「些細な事を気にしすぎる」「パートナーとの喧嘩が絶えない」「すぐに人と比べて落ち込む」「やる気が出ない」「不安やゆううつ感に悩んでいる」「死にたいと考えてしまう」など、多くの悩みは自尊感情の低下が原因だと本書は伝えている。そして、その回復法を教えてくれる。
本書の日本版が、ついに7月14日に刊行となった。日本でも発売即重版となり、さっそく話題を集めている。今回は、本書の刊行を記念して、その一部を特別に紹介する。

精神科医が警告! 絶対にやめるべき「心をむしばむ口癖」とは?Photo: Adobe Stock

「なぜ自分だけ?」は最悪の口癖

「なぜ自分だけ」という考えが頭から離れない場合、問題は複雑化します。人間の記憶構造は非常に不安定なため、できるだけ記憶を忘れるようにできています。

 ところが、「なぜ自分だけ」という考えは、記憶と感情を結びつけてしまい、忘れることを遅らせるのです。ただ放っておけば自然と水面下に沈んで隠れてしまうものを、忘れまいと自ら必死で引き上げているようなものです。それを何度も繰り返すことで問題がこじれていき、他人との関係もぎこちなくなってしまいます。

 したがって、つらく不幸な経験を忘れたいのであれば、感情と結びつけずに、自然に水面下に沈んでいくように放っておくのが一番です。

「なぜ自分だけが?」「どうしてこうなってしまったんだろう」と自問するのはやめましょう。そのたびに悪い記憶が自動的に思い起こされ、同時にマイナスの感情が浮かび上がってしまいます。

(本原稿は、ユン・ホンギュン著、岡崎暢子訳『どうかご自愛ください』からの抜粋です)

ユン・ホンギュン
自尊感情専門家、ユン・ホンギュン精神健康医学科医院院長
中央大学校医科大学を卒業し、同大学医科大学院で博士課程を修了。京郷新聞、韓国日報、月刊生老病死などへの寄稿のほか、FMラジオ交通放送「耳で聞く処方箋」などの相談医としても活躍。韓国依存精神医学会、韓国賭博問題管理センター、中央大学ゲーム過没入センター、性依存心理治療協会、校内暴力防止のための100人の精神科医師会などで活動。主に関心を寄せている分野は「自尊感情」と「依存」。初の著書『どうかご自愛ください ~精神科医が教える「自尊感情」回復レッスン』が韓国で120万部のミリオンセラーに。