東証再編#20Photo:Thithawat_s/gettyimages

プライム上場企業には高度なコーポレートガバナンス(企業統治)の対応が求められ、特に、新たに追加された「気候変動リスク」の開示が企業を悩ませている。ここを商機と捉えたのが、監査法人とコンサルティング会社を併せ持つ会計ビッグ4だ。特集『東証再編 664社に迫る大淘汰』(全25回)の#20では、会計ビッグ4の狙いに迫る。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)

プライム合格企業に待ち受ける次の難所
ガバナンスの規則改訂で83項目への充足必至

「プライムの基準に到達することが、今はとにかく最優先だ。ガバナンスの面では、取りあえず指名・報酬委員会をつくり、『やってみるか』という感覚でSDGsを打ち出した程度でしかなく、ほぼ全ての要求項目に手が回っていない」(東証1部上場企業の首脳)

 東証の市場再編を控え、流通株式時価総額などで新市場への合格基準を満たさない上場企業は今、躍起になって資本政策に取り組んでいる。ただ、やっとのことで望む市場の基準に到達した企業にも、さらなる“難所”が待ち受けている。

 それが今年6月、金融庁や東証によって改訂された、企業統治の在り方を定めるコーポレートガバナンス・コードである。持ち合い株の削減や指名・報酬委員会の設置を含め、改訂版の規則では83もの項目への充足、または説明責任(コンプライ・オア・エクスプレイン)が求められるようになったのだ。

 あまりの「要求」の多さに途方に暮れる企業。そこに商機を見いだし、ビジネス拡大を狙う者たちが動き始めている。