菅首相が突然の退陣表明
日本株は大幅上昇

記者団の取材に応じ、自民党総裁選不出馬を表明した菅義偉首相記者団の取材に応じ、自民党総裁選不出馬を表明した菅義偉首相 Photo:JIJI

 菅首相は9月3日、自民党の総裁選に出馬せず、任期満了とともに首相を辞任する考えを示した。これにより、9月29日に実施される総裁選の勝者が、次期首相となる見込みだ。日本株市場は、菅首相の退陣報道を受けて上げ幅を広げ、東証株価指数(TOPIX)は2015ポイント超えと、1991年以来30年ぶりの高値となった。

 本稿執筆時点で、次期首相の最有力候補となっているのが岸田文雄氏だ。岸田氏は、「数十兆円規模」の経済対策が必要との認識を示しており、持続化給付金、家賃支援、共働きやひとり親家庭を対象とした臨時の休業手当などを検討する考えを明らかにしている。

 新型コロナウイルスの感染拡大による景気停滞や苦戦が予想される衆院選を踏まえると、自民党内でも大規模な経済対策への支持は強いと見られる。仮に岸田氏が総裁選で勝利すれば、日本の財政政策は、景気刺激型のスタンスが続くと見られる。

 景気刺激型の財政政策が続くとなれば、次期衆院選で自民党が議席を大きく減らし、政局不透明感が強まる展開も避けられるとの連想が働きやすい。こうした見方は、菅首相の退陣報道を受けた日本株上昇の背景と考えられる。