大阪・道頓堀でたこ焼きをほおばるジョンソン首相(2015年当時はロンドン市長)。
(出所) 英国大使館国際通商部公式ツイッター大阪・道頓堀でたこ焼きをほおばるジョンソン首相(2015年当時はロンドン市長)。(出所)英国大使館国際通商部公式ツイッター

国民から愛される
「許されキャラ」

 インターネットの画像検索で、「ボリス・ジョンソン」と「たこ焼き」を入力してみてほしい。大阪の道頓堀でたこ焼きを食べるジョンソン・ロンドン市長(2015年当時)の写真が山のようにヒットするだろう。

「舟型の容器を左手に、つまようじを右手に立ち食い」という、たこ焼きを食するには「正統」なスタイルだ。この写真1枚で、大阪人のハートはわしづかみだろう。いや、大阪人ならずとも、この政治家の愛嬌(あいきょう)には抗しがたいのではないかと思えてくる。

 政治家は普通、名字で呼ばれるものだ。ところがこの人に限っては、「ボリス」とファーストネームになってしまう。大衆的な人気は高く、女性関係も派手だ。結婚は3回目で、子どもも大勢いる。20年4月には、英国首相公邸であるダウニング街10番地で同居するガールフレンドが出産し、21年5月には婚姻を発表した。在任中の首相による結婚は英国史上2人目だという。

 今年になって、「首相公邸の改装費を支持者にたかっていた」という不祥事も浮上した。しかし、不思議と批判の的になることなく、この春の統一地方選挙では保守党が勝利した。これを「人徳」と呼ぶのははばかられるが、今風に言えば「許されキャラ」であろうか。ただし、コロナ対応という難事においてはこの「得な性分」が役立っているようだ。