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 初代が1972年に登場したホンダ「シビック」は、2022年に生誕50周年を迎えます。国産車の中では長い歴史を持つモデルですが、いつの時代も「市民の」や「都市の」という意味の車名とおり、大衆目線のクルマづくりを貫いてきました。現在はひとクラス下の「フィット」や軽自動車「N」シリーズの登場によって、庶民向けというキャラクターは薄れ、プレミアムハッチバックとして上級志向の選択肢として、日本そして海外で絶大な支持を集めています。

 かつての「シビック」を知る人にとって現行型「シビック」は、ボディサイズの大きさや300万円オーバーの価格に違和感を覚えるかもしれません。確かに近年は、2021年8月にモデルチェンジした11代目の新型を見てもわかるとおり、ボディサイズが全長4550mm×全幅1800mm×全高1415mmと立派なもので、随所に上質さが強調されたミドルクラスのハッチバックに様変わりしています。

 ですが、エントリーモデルだったのは20年以上も前のことで、先述したとおり今はその役割をほかのクルマに譲っています。そうした事情を鑑(かんが)みれば、「シビック」が上級移行を果たしたのは必然であり、現在の姿になったのも至極当然のことと言えるでしょう。

 とは言え、親しみやすさと特別な存在感を併せもち、乗る人全員が「爽快」になれるという狙いは、歴代モデルに通じたもので、日本人の感性にフィットする要素を多分に有していると言えます。