マッキンゼー、Google、リクルート、楽天など、14の職場を経て、現在はシンガポールとバリ島を拠点にリモートで活動するIT批評家の尾原和啓氏。2021年7月に発売された著書『プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる』(幻冬舎)は、発売前から予約が殺到し、発売から2週間で2回の重版がかかり現在3万部を突破。本のタイトルでもある「プロセスエコノミー」という言葉がメディアで紹介されるなど、注目を集めている。尾原氏がグロービス・キャピタル・パートナーズの代表パートナーの高宮慎一氏と行った対談の模様を、全5回に分けてレポートする。

プロセスエコノミーのブームが「必然」といえる、3つの理由尾原和啓さん(写真左、撮影は千川修)と、高宮慎一さん(写真右)

「プロセスエコノミー」は
3つの流れが交差したど真ん中

尾原和啓氏(以下、尾原) 今回の新著のタイトルでもある「プロセスエコノミー」という言葉は、「ファンエコノミー」や「クリエイターエコノミー」や「パッションエコノミー」など、いろいろな言い方にも置き換えられると思っています。

 僕は、初めに「クリエイターエコノミー」を提唱していた人は、高宮さんだと思っています。確か、2018年くらいからベンチャー投資家キャピタリストとして、声高に提唱していましたよね?

高宮慎一氏(以下、高宮) 「クリエイターエコノミー」的な文脈でいうと、クリエイターが「マイクロエコノミー(小さな経済圏)」の中で、ビジネスを「スモールスケール(小規模)化」するみたいなことは、10年ほど前から言っていました。

 その文脈での投資でいうと、フリーランサーのプラットフォームである「ランサーズ」やストックフォトのプラットフォーム「PIXTA」などへの投資があります。どういう呼び方をするにせよ、「プロセスエコノミー」は、3つの流れが交差した「ど真ん中」であり、「今こそ大波が来ている!」感があるなと思います。