武田薬品 製薬エリートの真実#6Photo:PIXTA

武田薬品工業の国内研究所では2016~17年にリストラがあり、その機に会社から独立するベンチャーが約10社誕生した。これらベンチャーは“ある事情”により、来年から厳しい局面に立たされる。特集『武田薬品 製薬エリートの真実』(全8回)の#6では、元エリート社員たちが転籍したベンチャーのその後を追った。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

研究所の大リストラで
武田薬品発ベンチャーに転籍

 武田薬品工業はクリストフ・ウェバー社長兼CEO(最高経営責任者)が就任して間もない2016~17年、神奈川県の湘南研究所(現湘南ヘルスイノベーションパーク)で大リストラを敢行した。米国に研究開発の拠点を移す一方で、長年目立った成果が出ていなかった国内研究所にメスを入れたのである。

 大リストラの際、会社は大幅に見直した組織図を社員に示し、空いているポジションを社内公募にかけた。全ての社員を受け入れられるほどの枠はなく、また枠が空いたままであったとしても一部社員は選考で容赦なく落とされた。結果、特別退職加算金(最大60カ月分)付きの転進支援制度「R&D NCAP」を使うなどし、多くの社員が退社した。

 社内公募と並行して、社員には海外出向、あっせんする会社(大正製薬、三菱倉庫、あすか製薬、千寿製薬ほか)への転籍など、幾つかのオプションが提示された。武田薬品からカーブアウト(独立)するベンチャーへの転籍や、社員有志によるベンチャーの立ち上げも選択肢に含まれていた。

 17年4月創業の創薬ベンチャー、スコヒアファーマ(INCJ、武田薬品、メディパルホールディングスが出資)など、18年2月までに約10社の武田薬品発ベンチャーが誕生した。

 実はこれらベンチャーに対して、大企業の武田薬品ならではの「給与保障」があった。その庇護がいよいよ終わろうとしている。